クリスマスプディング🐳🎄創作童話。サマークリスマス、長編です!
クリスマスの空には美味しそうな色のクジラが泳いでいる。
そんな話を、聞いたことはありませんか?
ここは、24日夜のとある子供部屋。今、サンタがプレゼントを置いたところです。
サンタは、ふぉふぉふぉ、メリークリスマスとつぶやくと、ふわりと窓を降りました。その下には、クリアイエローとブラウンの半透明のクジラが。
「ありがとう、プディング。トナカイが風邪をひいた年は、いつも君に世話になる」
プディングと呼ばれたクジラは、フォォンと、金色の星屑が混ざった潮を吹きます。
「サンタのサン、今日は大忙しだね。子どものプレゼントは言うまでもなく、喧嘩したカップルの仲裁や、寂しい独り身に心まで温まる特別なお酒をなんて」
サンは、お髭を伸ばします。
「まぁ、一年に一度の聖夜じゃからね。盛大に行こう」
プディングは、空気の蒼い波をザブザブとかき分けて、隣の国へと急ぎます。
「飛ばすよ、サン」
「ふぉ」
ザザザザアー、星屑が煌めきます。空には、満月、真っ白な雪もちらちらと降り始めました。
「ふぉふぉふぉ、メリークリスマース!」
大小様々、色とりどりのプレゼントが、それぞれの街に降り注ぎます。
「目覚めた人たちは、プレゼントの取り合いだね」
「ふぉふぉ、なんのなんの。もふもふとした毛が生えた可愛いやつらの分まであるよ、心配しなさんな」
プディングは、闇を照らす月、真っ白な雪の中を、ハミングしながら通り抜けます。キラキラふわりとした美味しいプディングのおまけを降らしながら。
ツルルルル、ツルルル・・・
「トナカイのトニーからじゃ。つないでおくれ、プディング」
プティングに搭載された電話の内容は、プティングには聞こえない。プライバシーってやつだ。
「やぁ、トニー、サンじゃが。具合は良くなったかい?」
「サン!グシュン!・・・ええと、それどころじゃないんだ。ナナハ島で、緊急事態発生だよ。なんでも、プディングの・・・ゴホン、ゴホン!」
ツーツーツー・・・
「トニー?どうしたんじゃ?トニー?」
「どうかしたの?またプレゼント事故?ばね仕掛けが爆発したとかいう・・・」
サンは、ウォッホンと咳払いをしました。
「まぁ、プディング、行ってみなきゃわからんよ。ナナハ島へ急いでおくれ。トニー辛そうじゃったのう」
プディングは、フォォンと潮を吹きました。
目に見えないほどのスピードで夜を縫うと、そこはナナハ島でした。下に広がる、南国のエメラルドグリーン色の海。ナナハ島は、賑やかにそこに浮いていました。南国の果実がたわわに実っています。
「もっと、近くに寄せておくれ。わしが様子を見てこよう。この辺りには、誰もおらんがのう、プレゼントも置いてこよう」
上陸したサンを見送ったプディングが、ハァと、息を吐くと、月の抜け殻が、ポツンと浮かびました。
「全く、トニー、なんなんだ。この忙しい時に」
その時、星が光りました。
「あ、プルシオサンセス座だ。綺麗だなぁーあ、金ピカだ!」
プディングはウインクしました。
その時、嫌な空気を感じました。ドリドリ盗賊団の匂いです。
プディングは、慌てずに、フラワーバリアを張りました。大人がいる、それぞれの街では、大人がプレゼントを守りますが、こういう孤島では、フラワーバリアがよく効きます。効果は、次の通り。
ドリドリ盗賊団たちが、プレゼントを盗もうとナナハ島すれすれまでやってくると、発動!見えない花びらの層にぶつかった、ドリドリ団のリーダー鳥は。
「む、むぁぁ!こ、これは、フラワーバリアだ!気をつけろ。むぁぁ」
かすかに花のしずく色で色づいた、巨大な花が、広がり、広がり、ペロリン、ポン!ドリドリ盗賊団は、バリアに丸呑みされました。
「あっはっは!ドリドリ盗賊団は、自分たちを盗まれてしまいましたとさ。あはは」
そこへ、サンが帰ってきました。
「どうした、プディング。ごきげんじゃな。・・・ほう、ドリドリか。」
プディングは、にっこり最大のスマイルで言いました。
「サン、いつもドリドリには困ってるだろ?懲らしめてやった」
サンは、ふむと息をつきました。
「フラワーバリアとは、派手じゃな。まぁ、プレゼントを狙う輩は放っておけんしな。サンキュウ、プディング」
ツルルルル、ツルルル・・・
「ん?また、トニーからじゃ。トニー?ふむ?・・・なるほど、わかった。あったかくして寝るんじゃよ」
プディングは、またかなとため息をついた。
「トニー、なんだって?」
「次は、ビュッテバッハ海岸と、サリュー広場じゃとさ」
「ええ〜?基地のワルワル電波、壊れてるんじゃないのー?」
サンは、にかっと笑う。
「頼むよ、相棒!」
プディングは、そう言われるとなーと、口の端を緩め、急発進した。
音のない速度で海岸を何万個もすり抜けると、ビュッテバッハ海岸についた。
雪国ならではの、暖かさ。この海岸には、何も住み着いていないけれど、それは、プレゼントを受け取るような奴らがいないだけで、静かな暖かさがある。・・・暖かさを、守っている、というか。
サンがプレゼントを持って繰り出すと、プディングは、薄青い大きな風船を吹いた。中には、トニーが咳をして、布団を何枚もかけて寝込んでいる画像が映る。
「トニーとサンの会話、なんなんだろ。う〜ん、ぼく考えすぎ?」
ブルーブルーアワアワスプラッシュをたくさん立てると、海は、まるで荒波のようにぐるぐる泡立った。
「プディング、ただい、ま。なんだか不機嫌じゃの?ここもなんともなかったが、次は、サリュー広場まで頼む」
「・・・うん。お仕事お仕事」
プディングは、フォォンと潮を吹く。
夜の一粒ひと粒をバラバラにして、溶かした闇を進むと、ぽっかり明るい場所に出た。
朝夜関係なく、明るいサリュー広場。広場と言っても、人外、ひとじゃないものが集まる広場。妙にカラフルなキノコが椅子代わり。
「よし、じゃあ、行って来るの、プディング。頼んだぞ」
プディングは、オーケーの形のアルファベットを浮かべる。サンの姿が見えなくなると、ポツンと、こう言った。
「そういえば、この広場、聖夜には何か特別なことが起こるって、クジラ掲示板に出てたな。それに・・・」
流れ星がよく見える。僕は、願い事を望むより、叶える立場だけど、うん、悪くない。幾百と流れる流れ星に、願いを込める。
「僕が、僕であれますように!」
その時、どこからか、シャンシャンシャンと、音楽が聞こえてきた。空が、ギラギラと光り、カラフルなシャワーを降らせると、プディングの故郷が一斉に瞬いた。
白い雲海に、お菓子だらけの海と空。プティング色のたくさんの仲間たち。クリアイエローとクリアブラウンの半透明なグラデーション虹までかかっている。
「うわあ、うわあ、凄い・・・」
その時、サンがひょっこり帰ってきた。してやったりな顔をしている。
「驚いたかい?プディング。クリスマスプレゼントじゃ。トニーと計画したんじゃよ」
プディングの蒼い瞳からは、一瞬、ザザアと滝のような涙が落ちたように見えたが、ブルブルブル・・・いつもの、ちょっとひねた笑顔が戻っていた。
「サンキュウ、サン、トニー!僕、もっと頑張れる気が、しないでもないよ」
ふぉふぉふぉ、と、サンは笑う。
「それでこそプディング、じゃな。さぁ、まだ仕事が残っておる。ハミング吹き吹き行こう」
サンがプディングに乗り込むと、金銀入り乱れた星屑のシャワーが、空に道を描いた。今度は、少しだけゆっくりと、空を駆ける。
「ふぉふぉふぉ、メリークリスマース!」
「メリィクリスマース!」
サンとプディングは、世界中に幸せを配っている。
はい、久々の創作童話でした!
お楽しみ頂けましたでしょうか?素敵なトップ画像はギャラリーよりお借りしています🌸
12/25が本家クリスマスなら、その半分である夏の8/25をサマークリスマス🎄としようとラジオ局が決めたというネット記事を読み、
いいじゃ〜ん!と、
投稿させて頂きました⭐
(色々、説はあるようです。)
いまから5年?6年?そのくらい前ですかね、これを書いたのは。
弟が、奥さんを連れてきた初めてのクリスマスにキラキラ🪩した気持ちで仕上げたのを覚えています😊🌼
noteに載せられるようなクリスマス童話(3年くらい前のもの)もう一つあるので、そちらは12月のクリスマスに載せようかなと思ってはいます笑🥹
ここ2年くらいスランプで、全然創作童話が書けなくて、書けない間に公募の童話賞も減って行ったり🤣
ま、なるようにしかならないですね。
読了ありがとうございました🙇
身体に気を付けて愉しく参りましょう☘️
あ、童話とは関係ないですが😅
来月のレコメンド(ゆる〜い曲紹介)も発表予定ですので、9月最初の土日をお待ち下さい🌟
ナッツカナッペでした~😆🍡