海外就活の終焉
日本でもまともな就活はしたことがなかったので海外就活ってどうやるんだべと言う感じだったが、日本と違って新卒一括採用という妙でへんてこりんな雇用システムは欧米社会には存在しない。よって就活サイトで仕事を探して応募していた。NZだとトレードミージョブ、Indeed, Seekがあるけど見やすさと機能でSeekだけを見ていた。後は気になる省庁のキャリアサイトに登録してそこからメールを受け取る形にした。
政府職も全部Seekで探していたが、今回引き当てた職場は省庁からダイレクトに来るメールで雇用情報を知り応募した。これも後から知ったことだが省庁は募集が終わるまで待つのではなく、応募がクローズする前に面接を始めるらしく募集広告が出たらすぐ応募しなくてはならないらしかった。
確かに今回受かった組織は募集から2日目でCV+CLを送って、応募順で面接と面接当日に面接官から知らされた。そういう訳で自分が一番最初にこの仕事に応募したやる気満々の奴という事を知ったのだった。募集は出ているが1か月ほどたった広告は死に広告らしく出しても無駄のようだ。確かにそのような仕事に応募しても返信すら来ない事が多々あった。
腰が痛いのでオフィスで座り仕事はもう嫌だなあということで就活の初期はラボテクニシャンの仕事に応募していた。面接も2回行ったが若い人が多く繰り替えし作業になるので永遠に人を募集しているような職場で、かつサイエンス学生は毎年量産されるので安い給料でも働きたいと考える人が多いようだった。自分が履歴書送った職場、ユーロフィン、ALS、MSDのようなコマーシャルラボの募集は永遠に出ており、オーストラリアのサイトでは会社に対する評判まで書き込みがあり、評判が良くなかった。便利な世の中になったもんである。レストランのレビュー同様に、ブラック企業に対する書き込みももっと盛んになればいいのに、などと思ったが半年もSeekに張り付いていて同じ募集が何回も出る企業は、ブラック率が高いよという事なのだと思う。
以前も書いたが就活と婚活は一緒である。
あいてもこっちもいい相手を引き当てたくて必死だ。
そして出会いというものも数打てばいいというもんでもないし、応募する側からすると相手に気に入ってもらえそうな内容(CV)であるかどうかが相手のクライテリアに合致するかどうかの一点で、そうなってくると相手(私の場合新ボス)が私を気に入ってくれるかどうかが最も大事な場面になってくる。
一回目の電話スクリーニングで20分の電話を30分話した私達はお互いに気が合うのでは?と思った節があった。相手の事は全く知らなかったが後で面接へのインビテーションを貰い新ボスがイギリス人でケミストリーの博士号持ちであると知り、その上にとても思慮深く優しい人柄であることに大変驚いた。横柄さの欠片もなく、凄い経歴なのにとても控えめな人柄であることは電話口でよく分かったからだ。
NZだと政府職は結構きちんとサラリーレンジが記載されているが今回の職場はそれが募集要項になかった。それを聞く機会はあったのだが、日本人ゆえ自分の給料についてまだ雇われてもいない相手にあけすけに聞くのは自分はできないわ、、と思って相手が幾ら欲しいの?と聞いてきたときにアドミンだとこれ位かな、、と思った額で言った。
次の仕事は最低自給この位目指すぞ!とアドバイザーロールの64K位の仕事ばかり応募し面接に呼ばれてはテストがイマイチなので面接で「いい人なんだけどねえー」と言いながら落とされ続けた。アドバイザーロールとなるとかなりの専門性を求められるので散々落ちた後に組織のアドミンから入り込んでそこからキャリアアップじゃ!という戦略に変えた。というわけで、当初はラボテクだったのが途中からサラリーに目がくらみアドバイザー、それに落ちまくったので政府職アドミンという戦略変更を行わざるを得なかった。
半年の間面接には9回呼ばれたので打率は良いしそのほとんどが政府職である。逆に普通の会社は専門性高すぎ&高学歴でCVで落とされた。こうなると政府職アドミンしかアドミンジョブ受からんぞ、、、と落とし穴に自分がすっぽりハマってしまったような停滞感を感じた。いずれにせよ修士はもっていてもセシスは書いていないしちょっとアドバイザー職には足りない気がしていたので、戦略変更で政府職アドミンから入って組織内で成長していく方針に変えて応募したら運よく引っかかった。
これ以上無職が続いても自分の市場価値がある程度わかっていたので応募しても相当限られた職種になると覚悟していた矢先で、体の調子もメンタルの調子が悪いせいで落ちてしまっていた。夫とも2回大喧嘩をし、夫も私と連動する形で皮膚病が悪化。エンパシー&シンパシーの塊である夫はふんだんに優しい反面、自分がリーダーシップを取らないといけないと思うと具合が悪くなり態度もパッシブになりビビりが入り追い詰められる。
夫が私の状態と連動して無駄に不健康になっていく様は私にもプレッシャーになり内心「お前だけはしっかりしとてくれよ!」と11年経っても変わらない18年上夫のメンタルの弱さを改めて実感する日々だった。家庭内リーダーは依然として私であり、私が仕事を得なければ家庭が崩壊する寸前だった。しかし私のCVは無駄に格調高く、普通の会社に送っても大いにビビられ、政府に送ってもちょっと足らないということで落とされ、マジでムカついて庭にシャキシャキの水菜をぶちまけるに至るのだが、我に返っても仕事はないし結局庭にぶちまけられ乾いた水菜を翌朝目にするだけで何の救いにもならなかった。
結局何が言いたいかというと、婚活も就活も一緒で自分と相手が求める所が一致して気が合う、これは英語ではケミストリーがあるというのだが、そういうもんがないと無理だよということだ。自分が完全に仕上がってるのに仕事の募集がないとか、良さそうな相手はいない停滞期もある。その間にムシャクシャしてモノに当たったり煽り酒を飲んだりする。それは全然悪いことではない、むしろイライラしたら人の不幸を楽しむべきでヨガだのマインドフルチンネスなどする必要はない。必要なのは庭に今日食べるはずのサラダを全部ぶちまけてさっさとピザを注文することだけだ。あとは100%運の問題。
運の問題になると、やたらスピ系は引き寄せ引き寄せと煩い。まあ今回思ったのは人事を尽くして天命を待ち、その中で絶望しつつも前に進もうとしていれば、最後はきちんと終わりを迎えるということだ。あと明らかにこのままではいけないという点、自分に関して言えば無職にまかせて2時に寝て10時に起きる生活を改めることにした。フルタイムで働く人間が夜中2時に寝て10時に起きるて終わってるやろと思い、働く気持ちで朝は何もなくても7時半に起きることにした。また毎週一回朝6時45分に起きて8時からのボランティアに参加し始めた。とにかく朝早く起きてアクティブに過ごし、ボランティア施設で人と話す事に慣れ、そこから始めないといきなり2年間ヒッキ―して勉強ばっかしてた奴が簡単にシャバに復帰できる訳がないからだ。しかも自分は政府職というかなり高めの目標設定してるので、それなりに日常生活から準備しないと、いきなり面接に呼ばれてもヒッキー生活を相手に悟られてしまうとことが過去何度か実際あったので、過去の面接も糧にフルタイムジョブを始めるに辺り、日常生活から勤め人のスケジュールにするというごくごく当たり前の基礎から生活を見直し、また外出する機会を作り、面接に呼ばれてもヒッキ―爆発しないようにヒッキ―抜きを行った。家にずっといる人は基本的にコミュ障気味になり英語も話さないのでどんどん自信が無くなる。ボランティアは肉体労働+ボラさんとのコミュニケーションが必要なのでビビってる暇もなくどんどん環境にアジャストしていけばいいのでやってるうちの調子が戻ってきたしヒッキ―も英語コミュ障も無くなってくる。ヒッキ―なってみてヒッキ―がヒッキーから抜け出せない理由が分かったし、分かった上で抜け出せないならタダの怠慢なのでヒッキーを1ミリも擁護できないな、などとも思った。自分は海外で英語環境で修士号の勉強しながら政府職就活してメンタル悪くなったので、日本の怠惰で気が弱いだけのヒッキーとは全く違う。しかしヒッキ―が長く続き就活が長期化するとメンタルは悪くなる。うちは夫の稼ぎがあって死ぬわけでもなく家だって購入していて生活は安定しているにもかかわらず、45歳で無職という不甲斐なさとお祈り&ごめんなさいコールにほとほとうんざりし、しかし一方で普通の会社にCV送っても全然引っかからないし、政府職はちょっと足りないで受からないし、じゃーどーしたらいいんだよ!とかなり停滞した場所にいて、水菜を庭にぶちまける羽目になった。
まあそれもこれも極まれるとこまで行かないと多分自分に仕事はあっさり手に入らないだろうなと自分の性分含めて思っていたので、こうして素敵な上司に、女性でケミストリーの博士号持ちで恐らく同年代のイギリス人の最高に尊敬できそうな上司に出会えた。当初から掲げていた1.尊敬できる上司(女性を希望) 2.一緒に働いて高め合えるような同僚 3.科学に関連した政府職 4.組織内昇進が可能な職場 の4つを叶えることができた。
だからと言って引きよせだのポジティブだのとスピる気はさらさらない。なぜなら状況を見ながら戦略変更をし、それなりに傷だらけになって得た結果だからだ。運でも引き寄せでもなんでもない。シンプルに結果が出たと言うだけだと思う。新ボスに関してはホントにありがたくて、夫同様天からのギフトだと心底思う。ただし口を開けて待っていただけではなく自分で相当動いて相当心身ともに消耗して得た結果だから納得もいくし大事にしなくてはとも思える。自分には実父からのDNAのせいで傲慢で冷徹な部分があり、それは誰に対してもおしなべてそうで、特に全く尊敬できない自分よりも学歴が低く知性のない人は徹底して軽蔑し下に見るような所がある。自分ではそういう性格を知っているもんだから、上司は自分よりも素晴らしい人格者で学歴も高くなければ絶対言う事聞けないので、今回こうやって尊敬できる上司に出会えた(予想通り、移民は移民を雇う。イギリス人であっても新規でNZに来た人はNZの壁にぶち当たることを知っている。前の上司も米国人で、NZ社会の田舎独特の排他性について二人で文句言い合ったこともあった。)。
夫と結婚した時もそうだったが本当に大変だった。それだからこそ自分が試され、自分の不甲斐なさに涙しイラつき、斧で木を切り倒し自分のノートpcを夫の目の前で破壊したりもした。今回は夫が壊したホーンジーのカップが夫の目の前で、スレッジハンマーでもって叩き壊された。夫も夫でゴミ溜めの中で生きて一切片付けない。11年経っても転職もできない夫に変化を求めた。夫はようやくベッドマットをサルベーションアーミーにドネーションすることに合意し部屋を片付け始めた。それを見て私は「今週行った面接受かるかも」と思ったのだった。
最後にスピってしまったが、まあ変化を起こしたければ自分が変わらないと何も変わらない。夫がベッドマットをドネーションに出して部屋を片付けたのは先々週に夫の友達が来て「なにあれ」と指摘したからである。そう思うと当初は全く気が進まなかったのだが、ポーラとトムが来てくれて実によかったと思う。
まあこうやって経緯を考えていくと、物事にはきっかけがあり、それが複雑に絡み、結果的に風が吹いたら桶屋が儲かるということにもなり、しかしそうはいっても宝くじは当たらないし、自分の具合が悪くなるまで自分を追い詰めなければならなかったり、また就職したとて仕事をやっていかないといけないわけで、これも新たな試練ではある。しかしながら仕事を通して成長し更にお金が稼げるのだからこんないいことはないと思う。また組織内昇進も可能となると自分の専門性を高めるための勉強を続けることもできる。こんな幸せな事はない。これからも科学論文が読める。実に喜ばしいことだ。