訪問看護4日目
独居の女性。大正生まれ94歳。
緩和ケア病棟に入院が決まり朝イチで訪問する。
介護タクシーがまだ来ないため少し話をする。
「YouTubeでね、もちまる、猫のやつ、あれは好きや。あとは嫁姑な。それと不倫。夜中まで見てしまうねん。」
94歳でYouTube!
ExcelやWordも使っている。
生協の食品注文はもちろんWeb注文。
94歳!
携帯電話は見えにくい問題上、ガラケーだった。
「YouTubeでな。不倫の動画。あれは終わりがないわ。」
94歳!
恐れ入りました!
何でも遅い事なんて無いんやな〜。
8人兄弟の末っ子。
早くに母が亡くなり年が離れた兄夫婦が親代わりだったと。
20代から癌と闘い始めた。
10年おきにアチコチ出来る癌との闘い。
「70年前は抗がん剤なんか無かったから、切るか放射線だけやった。」
その表情はまるで
『消毒なんか無かったからツバ付けてた』みたいな内容を話している感じだった。
介護タクシーが来てシートをうまく使って急な階段をお姫様抱っこされて降りて車へ。
「おおきに。ありがとう。」
小さい身体で目をクリクリさせて手を振って病院へ行った。
家で看取る事が出来ない切なさ。
本当は自分の家に居たい!と言いたいだろうな。
色んな生と死がここにある。
何も出来ない。
でも生活の質向上のために一生懸命動こう。
それしか出来ない。
出来ることをしよう。
部屋の5月の『もちまるカレンダー』の
もちまるが寂しそうに見えた。
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