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アメリカミシガン州 KyokofromTokyo#9 夜の森の鹿とお礼は生姜焼き
ログキャビンのおばさんの家へ
森のマッシュルーム狩りから帰ってきたと思ったら、次は何?
「おばさんの家へ、鹿に干し草をあげに行くのよ」とリニー。空き地にコンテナのように積んである藁山からひと山、車に積み込んで、すぐ出発。
ジョンはお留守番。
40分ほど車を走らせて、林を抜けて、おばさんの家へ到着。
ログキャビンの土間が入り口。広い大きな居間へ、靴は脱がずにそのまま上がる。こちらは基本、靴は脱がないから、玄関というものがない。
天井の高い居間には暖炉があって、二方の壁は床から窓になっていて、大きな窓からベランダの向こうは湖、湖の向こうには森が広がっている。もう一方の窓からは畑と、車で通って来た道と林が見える。
おばさんのご主人は大工さん、リニーのBarnを建てるのを手伝ったのもおそらくこのおじさん。だから自前で建てた家ということ。ログキャビンの家を建てられる、すごいなあ。
これだけ広けりゃいいなあ、キッチンは居間の奥にあって、オープンではないけど、キッチン戸棚と作業台が居間にあるから8人くらい座れるダイニングテーブルの皆とコミュニケーションが取れる。
「東京の家賃ってどのくらいなの?」とおばさん。
「私の部屋の広さはこの居間の半分くらいなんだけど」家賃を答えると「へえ!高いわねえ!」とびっくりしている。やっぱりそうなんだねー
「ここは田舎だからね、やることないわよ、東京と違うわよね」と言っていた。
田舎の人は田舎で広々ゆったり暮らせるんだなあ。日本も海外も。都心の人達は家賃稼ぎな生活だもんなあ。
リニーのいとこたち
おばさんには3人の息子と娘が1人。冷蔵庫には3人の息子の写真が貼ってあった。「みんなこの町を出て独立しているのよ」と話してくれる。
リニーにとってはいとこ、おばさんと同居している娘さんを紹介してくれる。
夕方だったが「今起きてきました」という感じで、メイクふき取りシートで化粧を拭き拭きしながら居間に下りてきた。
娘さんは私を見て、とてもびっくりしたようだった。東洋人初めて見たという感じで、リニーに「いったいどこで知り合ったの?」といった質問。「兄ダニーの友達よ」といった返事をすると、「Ah~~」とびっくり目を丸くしたまま握手して挨拶。
盛り場経営
おばさんは娘さんとバーを経営している。娘さんの風貌からすると、キャバレーみたいなところみたいだ。
SNSを見てみると、なかなか濃厚そうである。広い土地のこの辺りではここしかない盛り場なのかもしれない。きっと地元の人達に愛されているのだろう。
娘さんがリニー達と立ち話をしながら、キッチンの作業台にあった Betty Crocker ベティクロッカーのバニラ味を2袋、巨大なボウルにざばっと入れてかき混ぜ始めた。おおー大胆だ、アメリカンな感じでいいな!私もベティクロッカーは大好きだ。
しばらくすると、リニーのバースディパーティに来ていたキュートなティーンエイジャーママと男の子と赤ちゃんが、大きな木のダイニングテーブルに加わって、日が暮れるころまで、みんなで鹿が来るのを待ちながら、話をする。
リニーの家から干し草のキューブを車に積んで持ってきていた。それを林の横の畑にほぐして置いて、ダイニングの大きな窓から見える畑に鹿が来たかどうか、時々様子をうかがう。
お茶出してくれないのかなーと内心思っていたのだが、しばらーく経ってから、おばさんが「何か飲み物を」とキッチンから持って来てくれたのが、淡いピンク色のジュースのペットボトルだった。
ちょっと飲んでみたが、これはなんの味だろう?全部飲めないな。ふた口舐めてごめんなさい、ご馳走さま。
今思えば「水もらえますか?」と言ってもよかったかもしれないけど。笑
この時、おばさんがひたすらひとりで喋っていて、私はおばさんのおしゃべりの英語リスニングをしていたけれど、残念なことにまったく聞き取れず、なんの話だったか分からずに終わってしまった。
リニーはテーブルで話を聞きながら、ほとんど話すことなくテーブルに置いてあった大きなパズルに興じていた。後で「わたしはあまり話したりしないのよー」と言っていた。親戚たちの中でおしゃべりなタイプじゃないのよという感じだった。
地下のアトリエ
リニーとおばさんが、家の地下に案内してくれる。地下にはなんとアトリエがあった。おばさんは絵を描くのだ。窓は半地下で少し外の地面が見える。抽象画だ。あまり密度はなくて、淡い色合いの印象派っぽくて、描きかけの小さめのキャンバスがあちこちに置いてあった。
「印象派のモネみたいね」といったら「あーモネね!そうね、わー」と照れていた。かわいい。
「これが気に入ってるの」と見せてくれたり。「すごい、展覧会とかしないの?売らないの?」「売りたくないわ」手元に置いておきたいらしい。「こんなアトリエがあるなら、私だったらたくさん描いて売りに出しちゃうな」「えーいやよ~」笑 好きで描いているという感じだった。
窓から干し草を積んだ畑をみんなで見ながら「今日は鹿は来ないみたいだねー」残念。
「じゃあ、おばさんのやってるバーに行ってみる?Kyoko?」とリニー。でも私は薄暗くなってきた今からバーへ行く気にはなれなかった。
「明日の朝出発だし、荷物の準備しなきゃ、、、」と私は妙に現実味を帯びた返事。せっかく誘ってもらったが、いろいろ初めて見る、聞く状態で疲れてしまった。
もう少しロングステイができれば、もっとゆっくり楽しめたかもしれないな。「そお?」リニーは残念そうだったが、仕方がない。
夜の森の鹿
今夜はリニーの家の滞在最終日、おばさんの家から帰った後、すこしひとりで散歩に出てみる。
夜になった森の中を散歩して名残を惜しむ。Barnの外灯が森を明るく照らしているので、森の中を歩いてもさほど暗くない。
来た時に、リニーの娘レーガンに教えてもらった山道をもう一度たどってみた。斜面を登って、リニーの作った木のオブジェを見て、下って、平地の森の中をBarnの方へもどろうとしたとき、なんとなく物音がして振り返ると、鹿が歩いていた。おおきくてお腹がパンと張ってる大きな鹿だった。距離はかなり近かったけれど、こちらを気にすることなく、少し急ぎ足で森を横切って去っていった。「は、、、 鹿だ」
さっき、おばさんの家で待ってても現れてくれなかったけど、最後に森の中で鹿を見られて嬉しかった。
「Kyoko、今、鹿を見たって!良かったわねえ」「おお鹿を見たか、そうか、最後に見られてよかったなー」リニーもジョンもいい人たちだ。
お礼は日本食の?ジンジャーポークで
Barnでは、発電を控えているのか、夕方になって薄暗くても明かりをあまりつけない。でも薄暗い自然光もいいものだ。
「さあ、Kyoko!今夜は dinner を作ってくれ!」とジョン。
よし、生姜焼きを作るぞ。日本の料理酒の代わりに白ワインを使って、生姜はメイドインチャイナだけど仕方がない。醤油はここのキッチンにはキッコーマンがあるからね。
日本で見かける生姜焼き用のような薄切り肉が売っていなくて、代わりに買った分厚い豚肉と味付けに格闘する。それにこちらの肉は総じて固い気がする。そして私の背ではキッチン台が高くて作業しづらい。
でも美味しくなるように一生懸命作った。真剣に作ってたら、あとでジョンに「Kyokoはもくもくと作ってて very serious だったよ」と言われてしまった。ジョン風に楽し気に作ってたらよかったかな? 笑
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子供たちは2階の寝室でもうおやすみ。さあ、大人だけの Dinner Timeだ。リニーがパックに入ったサラダをお皿に盛ってくれた。たくさん作った生姜焼きをそこに乗せる。
乾杯の後、私は「いただきます」と言って食べ始めたが、リニーもジョンもさっさと食べ始めていた。笑
「ん、うまい!これはいけるな、ジンジャーポーク」とジョンとリニー。よかった!彼らの口に合う味にできるか責任感じちゃって緊張したよ。
薄暗いBarnの大きなテーブルで頂くディナーはとても美味しかった。
自分で作ったなじんだ味だからおいしいけど、分厚いポークだからすぐにおなか一杯になる。リニーは「もう食べられないわ!」「Kyoko、もっと食べろ」とジョン。「じゃあもらう」と食べたら、「Kyoko、お腹いっぱいならそう言っていいのよ!笑」とリニー。勧められたら断らない日本人だった。笑
あまったポークジンジャーはラップして冷蔵庫へ。後で食べてくれたといいけどな!
「片付けはやらなくていいよ」とジョン。
明日は朝8時に出発だから、今日はもうおやすみなさい。
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