朧月夜のスパイス料理
4月下旬の満月少し前のこと、東の空に朧月が出ていました。
この月から何故か、押上にあるスパイスカフェを連想したのでした。
もう、4,5年前になるのかな。やはり4月のことです。
「スパイカフェのディナーに行きたい人、手をあげて」という、カレーの仲間の声にすぐ反応しました。ランチには一度行ったことあったのですが、夜は初めてです。
すぐに4人が集まって、わいわい。
ディナーメニューは、決まったコース料理ですが、ドリンクはアルコールペアリングか、ノンアルコールペアリングかを選べます。私はノンアルコールです。料理に合わせた中国茶など何種類も出てきます。グラスもワイングラスなど、雰囲気を盛り上げてくれました。
友人たちは、アルコールです。やはり、アルコールが飲めるのは、食事の深みが違うのかな。うらやましい。
季節は春、野菜や、花の色も若々しくて、軽やかです。
スパイスカフェは、いわゆるカレー屋・インド料理ではなく(ランチはインドのカレーが食べられます)、スパイス料理の店なんです。素材とスパイスを組み合わせたプロの技を楽しむのです。
でも、やはりスパイスの国、インドの料理も提供されます。
もちろん、カレーも2種類。
さらに・・・
ああ、幸せの時間です。
スパイスカフェは、私にとって憧れの店です。
8年ほど前、私は身体を壊して仕事を休んでいました。そのころ、スパイスカフェ伊藤シェフの「SPICE CAFEのスパイス料理(レシピ本)」を繰り返し読んでいました。店に行ったこともないのに本屋で偶然見つけて、ものすごく惹かれて買っていたのです。それを引っ張り出して。
当時、本を読んでスパイス料理を作る元気はありません。しかも、スパイスカレーのしっかりとした作り方の知識がなくて、ものすごく難しく感じました。でも、なぜか繰り返し読んでいたんです。レシピだけでなくて伊藤シェフのエッセイも繰り返し。スパイスのこと、旅、店(スパイスカフェ)を作ったときのこと・・・
作ることのないレシピとエッセイを読むこと、写真を眺めることが私の癒しだったのかもしれません。
話を友人たちとスパイスカフェのディナーに行った時のことに戻して・・・
ゆっくりと食べて味わって、おしゃべりして、気づくと最後のお客になっていました。
東京の東側から西方面へ帰ります。
押上駅までのスカイツリーがまっすぐ見える道を、友人たちと余韻を楽しみながら歩きます。
スカイツリーは、「この上に、月がでているよ」と教えてくれました。
1年以上経った今も思い出す、気分の良い夜でした。