京響 定期演奏会詣で
ショスタコーヴィチ祭り
6月22日(土)京響定期へ行ってきました。
開演に先立ち、京響の定期演奏会では指揮者によるプレトークが開催されますが、昨日は開演10分前から行いますとわざわざアナウンスがあり、トーク中には開始5分前の鐘はなり、定刻になると楽団員が入場してくるなど、ちょっと面白い開始前の出来事でした。だから、井上さんの話を聞くというより周囲の反応が楽しかったですね。開始5分前の鐘の音は、井上さんがプログラムの交響曲第2番「十月革命」の中のサイレン(楽器)を印象付ける演出だったのかと思います。少しそのようなお話に触れられました。でも、井上さん、いろんな事を話したくて仕方がないといった感じでしたが、コンサートマスターからは早く演奏会を始めましょうと促されているようなちょっとおかしなトークでした。常任指揮者時代の思い出もあるからでしょうね。
そして、この定期演奏会は、「井上道義、ラスト京響定期のショスタコーヴィチ祭り」と見出しが付いていて、それもあってかこの日のコンサートはチケット完売でした。井上さんは「よくこんなマイナーな曲でチケット完売って、みんな物好きだね」って、面白可笑しく話を始められました。
ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲1番と2番
チェロ独奏:アレクサンドル・クニャーゼフさん
指揮:井上道義さん、オーケストラ:京都市交響楽団
聴くだけが専門なので、感じたことだけを書きます。1番はよく耳にしていたので曲自体は知っていましたが、すごい小編成なのに驚き。
これがコンサートで感じることが出来る楽しみですね。そして、金管楽器がホルン1本とは…。チェロは力強さで進んでいき、息つく間もなく1楽章が終わるといった具合でした。
休憩を挟んで、2番のチェロ協奏曲を初めて聴きました。重苦しい始まり方でしたが、その後はまたまた力強いチェロの音に釘付けになりました。盛り上がってくると色んな打楽器が出てきて、これぞショスタコーヴィチの真骨頂って感じでしたね。そして、終楽章近くでは何となく郷愁漂うメロディーも出てくるものの、直ぐに色んな楽器が消し去ってしまう。ショスタコーヴィチがわざと音楽を楽しませないよという感じに思えました。
そして、アンコールではバッハの無伴奏チェロ組曲第3番からの1曲で、聴いていて感動のあまりに思わず涙が…。改めて、素晴らしいチェロの音色に出会うことが出来ました。
交響曲第2番 ロ長調 作品14「十月革命」
え、これが20分の曲???というくらい濃密な時間でした。
2番はCDで何となく聴いていた程度で、やはりコンサート会場で聴いて驚きの連続。ショスタコーヴィチの若々しさを感じる曲でした。この曲を20歳で書いたらしいです、やっぱり天才です。合唱入る前までの弦楽器のうごめきには本当に目を見張りました。すごかった!それから合唱も加わると、さらに迫力は倍増。詩は新しい国家への”喜び”もあるんでしょうが、やっぱりなんとも言えず、重い・暗い…
ショスタコーヴィチ自身はこの劣悪な詩に屈辱感を感じたとプログラムには記載されていました。
でも、曲は素晴らしく盛り上がって終わる。そして指揮者 井上道義さんは終わると同時に振り向いて、”どうだった”と言わんばかりに、自信たっぷりに聴衆の反応を見る。客席からの拍手は本当に凄かったと思います。鳴りやまない拍手が続いたのは、そう滅多にあるものじゃないです。そして、井上道義さんは齢「77歳」…やるなぁ。