「男は得、女は損!~兄との確執が教えてくれたこと~」【前半】
「男は得、女は損。女の自分はどんなに良い娘、良い妻、良い母になろうと頑張っても、認めてもらえないし大切にされないのはなぜ?こんなに頑張っているのにどうして理不尽な目にばかりあうの?」
もしかするとこんな思いを持ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回登場するYさんは、幼い頃から二つ年上のお兄さんばかりが大切にされているように感じ、その理不尽さをバネにがむしゃらに頑張る生き方をやめられませんでした。しかし新しい生き方を知り、無意識のうちに握りしめてきた思い込みを手放せたことで、「私さえ我慢すればうまくいく」世界を脱出することができました。
こんなYさんの体験を通じて、あなたの世界の見え方も変わるかもしれません。
≪プロフィール≫
九州在住 Yさん
インテリな父と働き者の母という両親のもと、兄、弟、妹の四人きょうだいの長女として生まれる。結婚後は夫の長期単身赴任によりワンオペで娘3人を育てながら、地方公務員として28年間に勤務。現在は長女たち家族と一緒にのびのびと暮らしを楽しんでいる。
目次
前半
🔳立派な父とみじめな母
🔳二つ年上の兄
🔳兄に負けない!〜優等生の私〜
🔳スーパーウーマン〜夫との距離は広がる一方〜
🔳どんなに頑張っても愛されない人生
🔳ターニングポイント~新しい出合い~
後半
🔳父の手紙
🔳愛のとりこぼし~私だけを見て欲しかった~
🔳クランクアップ!悪役の兄
🔳夫婦・家族の関係性が変わった今
🔳終わりに
☆interview☆
<インタビュアー:桒山 早苗研究員 / ライター: 小田朱里 研究員>
「男は得、女は損!~兄との確執が教えてくれたこと~」【前半】
🔳立派な父とみじめな母
私の父は、地元では知られた存在でした。かつては地域のまとめ役を担う地主の大農家の出で、跡取りの一人息子として大事に育てられました。
高学歴と教養のあるインテリで国鉄に勤めましたが、意を決して国鉄を辞めた後は近代農業に夢を託しました。
そんな父は、自分の趣味や好きなことに打ち込む一方、家事には手を貸さない姿勢を貫いていました。
私の母は父ほどの学識はありませんでしたが、働き者でした。
嫁ぎ先が本家で、盆暮れ正月など、ことあるごとに多くの親戚が集まるので、その家族の世話のためいつも忙しく動き回っていました。
金銭的な不安も常に頭にあった母は、身を粉にして働いていたので、自分の身なりに構うこともなく、外での農作業のせいもありいつも真っ黒に日焼けしていました。
思春期になると、そんな母の姿を「教養がなく、ガサツ」と感じて、恥ずかしく思うようになりました。
父は穏やかで優しく、怒られたことは一度もありませんでしたが、母のことはどこか見下して認めていないように見えました。
他の女性と親しくなることもあり、そんな父に反発心を抱く一方で、母には「女として父から愛されていない」という惨めさを感じていました。
「女は男より立場が弱い」この頃からすでに私には、こんな感覚がありました。
結婚後、夫の実家でも、義理の祖母が男性を「男様」と呼び、掃除中に夫の足元をまたいだだけで私を叱りつけ、「人数分はない」と義母から言われて、夫と娘にだけ刺身を用意するなど、あからさまに差別的な扱いをされることがありました。
夫の口からも「女だから」「女のくせに」という言葉が繰り返し出てきていました。
私の世界にはこうして、はっきりと「男尊女卑」というものがあったように思います。
🔳二つ年上の兄
考えてみると、そもそもこの男尊女卑は私の実家の兄妹関係、特に二つ年上の兄との間で顕著でした。
兄は赤ん坊の頃、祖父母宅の囲炉裏に落ちて火傷を負い、眉にケロイドが残り左側の視力が悪くなってしまいました。
まだ若かった両親は初めて授かった跡継ぎの長男に一歩間違えば失明するような火傷を負わせたことで強く自責し、兄を甘やかしたのでしょう、その結果として兄はかなりのわんぱく坊主に育ちました。
裸足で庭から部屋へ駆け上がったり、私の口の中に無理やり指を突っ込んで飴を取って泣かせたり、私が友達と一緒に食べるはずのお菓子をごっそり掴んで逃げ去ったこともありました。兄のやりたい放題の行動に、私はいつも理不尽さを感じていました。
兄は、大人になっても同じ敷地内で暮らす実家の親に対して金銭的な援助もせずに、私はそんな兄をケチだと思っていたし、身勝手さと冷たさを感じていました。
🔳兄に負けない!〜優等生の私〜
私は小さい時から、家族のために働きづくめの母の笑顔が見たくて、両親に認められ愛されたくて、一所懸命に手伝い勉強も頑張ってしていたと思います。
自由気ままにふるまう兄を尻目に聞き分けの良いお利口さんとして振る舞い、親に迷惑をかけまいと自立心を持って生きてきたのです。
学校を出た後は地方公務員となり、男性並みに働きました。
それは、兄という男に勝つための選択でもありました。
そして金銭的に実家を支えない兄に代わり、私が銀行からお金を借りて援助し、お金や物を惜しみなく両親に与え、頼りがいのある長女、“お利口さん”を頑張っていました。
🔳スーパーウーマン〜夫との距離は広がる一方〜
私の“お利口さん”は、結婚して自分の家庭を持った後も留まることはありませんでした。
夫との結婚を決めたとき、私は「この男性には甘えてもいいんだ」と感じました。
しかし、現実はまったく違いました。
夫婦でマイホームを建てるという夢をかなえたとたん、夫が単身赴任になってしまったのです。
夫がそばにいない中、私はワーキングマザーとして孤軍奮闘しました。
3人の娘を2学年おきに立て続けに出産しましたが、当時はまだ産前・産後休暇を今ほど長くは取れず、週休も1.5日(土曜日は午後半日休)だったので、一人で子育てしながらのフルタイム勤務は容易ではありませんでした。
それでも子育てや家事を理由に仕事を辞めれば“負け”だと感じていたので、仕事を続ける以外の選択肢はなかったのです。
その職場でも、私は認められようと孤軍奮闘し、人の仕事まで取る勢いで働きました。しかし同僚たちはやる気がなくおしゃべりばかり。
そんな職場の人間関係に悩みはつきずストレスに苛まれていましたが、それでも外では明るく気丈に振舞い、家に帰ると不機嫌で無表情、という日々。そして驚くことに、当時の私は家でいかに自分が不機嫌でいるかということには気づいていませんでした。
こうした中、離れて暮らす夫との関係は悪化の一途をたどり、離婚も秒読みの状態でした。
疲れ果てた私は、冷え性や低体温、ひどい肩こり、ぎっくり腰、風邪、扁桃腺の炎症、便秘、大腸ポリープの切除、十二指腸潰瘍、円形脱毛症、子宮筋腫など、次々と病気に襲われました。
子宮筋腫は妊婦のように大きくなり、ひどい貧血に悩まされ、とうとう全摘出しました。
子ども達が大きくなると、私は教育ママとして厳しく娘たちに接しました。特に、成績の良かった次女を医者にするため、次女の通学に便利なマンションを購入し、国立大の医学部を目指して二浪させ、早期退職でもらったお金を惜しまずつぎ込みました。
そのうちに、うつ病で気弱になった義母も引き取り、同居生活を始めることになりました。
こんなふうに、これでもかと留まることなくやってくる荒波に一人で立ち向かっていたのです。
🔳どんなに頑張っても愛されない人生
いつも人のために孤軍奮闘していた私でしたが、そんな私を夫は全く認めてくれませんでした。
それどころか、単身赴任先ではパチンコ中毒になり、他の女性とねんごろになり、好き勝手に暮らしているように見えました。
家に帰って来ても、夫は常にイライラして怒りっぽく、娘や私に対して威圧的な態度を取り、家事にも育児にも非協力的でした。
私の話はいっさい聞いてくれず、娘たちもすぐに怒り出す父親に気を使っていました。
そんな中、兄が補助金詐欺に加担し罪をつぐなうというショッキングな事件を起こしました。
お金に困っている弱みにつけ込まれたのだと思います。
この事件で、趣味の踊りを楽しんでいた父も、人と交流することをやめてしまいました。
地方の公務員として勤めていた私としても肩身が狭く、母と泣き暮らす毎日になりました。
🔳ターニングポイント~新しい出合い~
そんなとき、勤めていた役所で“市町村合併”のため早期退職者の募集がありました。
まだ残っている家のローンはどうなるのか?と不安も一瞬出ましたが、「生き方をリセットしたい!」いう願いもあり、思い切って早期退職を決めました。
するとそのタイミングで、その私の思いに応えるかのように、新しい思考のテクノロジーというものに導かれました。
それは、“結婚”をテーマにしたセミナーへのお誘いがきっかけでしたが、そこで、自分の無意識の中にある二極の葛藤を終わらせ融合させること、それが自分の内側での「結婚」であること、その内側が自分の宇宙となって目の前に広がっていくということを学びました。
そして「これまでの苦しい現実は自分の内側が傷つき、荒れていることを映し出す鏡だったのだ」と理解することができたのです。
≪前半の締め≫
女性として、家庭と社会の中で与えられた役割を必死にこなしてきたYさん。
家族の中で父の影に隠れる母の姿に「母のようにはなるまい」と決意し、兄に負けまいと自立心を育ててきました。
しかし、やっと甘えられる!と思った夫との結婚生活は、Yさんにとって孤軍奮闘の日々の連続で、報われない孤独と不公平さ・理不尽さに絶望感を募らせるしかありませんでした。そんな中、新たな生き方を見つけ、自分を知ることで、自由で満たされた人生を歩むようになったYさん。
このYさんの人生がどんなふうに変容していったのか、後半をお楽しみに。
後半に続く
https://note.com/vast_eagle460/n/n53acc5b7c34d