インフレと利上げ

そろそろ来年の春闘を考える季節になりつつありますが、私の好きな渡辺努先生が利上げに対して苦言を呈しています
https://diamond.jp/articles/-/348830

先生の本は世界インフレの謎がすごくわかりやすくて、要するに
・インフレは需要と供給のバランスが崩れて生じる
・普通は好景気による需要増が原因だけど、今回はコロナによる供給源も背景にある
・政府の景気のコントロールの手段は基本的には利上げによる需要抑制、つまりブレーキコントロールによるもの
・だから前提として物価はインフレにないと困る、健全なインフレを目指すべき
・健全なインフレを目指すにあっては、賃上げと価格転嫁のサイクルを回さないといけない
・きっかけはさりとて今回のインフレも前向きに使ってさ、経済の好循環のサイクル取り戻していこうよ

こんな内容です。

なので要するにせっかくいい感じでインフレしてたのにビビって利上げしてんじゃねーよ

ってことですよね。為替とかの問題もあるので複雑なんでしょうけど、私も同感です。

さらに記事の中で、
・過年度CPIをもとに交渉するの限界あんじゃないの?
って話もあってこれも同感。そもそも、「賃上げしてから生産性を上げていく」って前提にまだ労組側も立ちきれてないんでしょう。ただ、理解すれば大丈夫って問題でもないのでなかなか難儀です。

経営も労働組合も理屈は理解しても、未来を信じられないと実行に移せない。この未来を信じることが多分一番の律速要因なのではないか。

戦後や災害後みたいな異常事態、また人口ボーナス期の社会は未来を信じることが容易なんだと思います。でも今はなかなか、みんな未来を信じることができていない気がします。

尊敬する方の言葉の受け売りですが、「危機感はあるけど悲壮感はない」状態が理想で、やばいのは「悲壮感はあるけど危機感がない」状態なんだと思います。いまは日本全体がそうなのかもしれない。

だからもちろん、物価や賃上げに対しての理解を更新していくことは大事なんですが、並行して社会全体を前向きにするにはどうしたら良いかを真剣に考えないとだめだなぁと思っています。

追記:人口ボーナス期の国家ではそもそも需要が増してくっていう未来への期待もあるんですが、子供のために未来を創ろうって考える人が多いことも、モメンタムを高める一要因なのかもしれないと考えました。では日本のような少子高齢化社会でどうしたらいいのか?については、やはり社会を構成する人たち同士の関係性を深め、お子さんがいるかどうかに関わらず社会の未来についてコミットメントを高められる状態を作る必要があるのかもしれません。
やり方の一つとしては愛国心を高めよ!みたいなやり方もあるんだろうけど、それはそれで危険なので、日本なりのやり方で市民同士の関係性の質を高める方法を考えたいものです

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