ノイズについて

待望のZOOM H2 essentialが届いた!
当初の予定から発売が1ヶ月も押して心配していましたが、無事発売されて良かったです。
手にとってはじめて、「これで何録ろう…」って思ったんですが、そんなのはどうでもいいんです。デバイスとしてかっこいいからそれでいいんです。それにしても何録ろう。

思い返すと録音の享楽にのめり込んだきっかけは、コロナ禍で会議をウェブ中継しなくちゃいけない機会が増えたことでした。
私は変なところにこだわる人間なので、会議を中継するなら音はちゃんと聞こえないといけない!と意気込んで色々創意工夫をするのですが、聞き手側はテレビの音質を求めてくるから文句ばっかり言ってくる。それにムキになってコスパのいい機材を探すという、誰と戦っているのかよくわからない攻防をかれこれ3年くらい続けているのです。投資をそこそこしたかいもあってだいぶと実践的な知識が身につきました。

実践的に身につけた知識の中で最近考えるのは、ノイズについて。録音ってノイズとの戦いなんですよね。
しばらく前にZOOM H1 Essentialを外部マイクとして使ってウェブイベントの中継をして大失敗したのが大きな学びでした。冷静に考えたら当たり前で、ステレオのコンデンサーマイクを使ったらそりゃあ外で話している人の声なんて拾えないです。

環境音がある空間でノイズなく録音するために重要なのは、マイクの感度をあえて落として音源に近づけること、なんですよね。例えば、ショットガンマイクみたいに指向性を絞ってみたり、ダイナミックマイクみたいに感度そのものを制限してみたり。つまり、録音の世界では感度が高いこと=いいことってわけではないんです。

これは超当たり前のことで、何言ってんのお前みたいな話なのですが、結構人生の教訓になるような気がするんです。例えば私は前の仕事で化学分析をしていたのですが、感度が馬鹿高い検出機を詰んだ分析装置でも、前段の分離がうまくいかないとノイズに埋もれていい分析ができないんです。だからクロマトとか、MSMSとか、分離が鍵になってくる。大事なのは感度だけじゃないんです。

さらに飛躍すると、私の会社では「運鈍根」を大切にしろってよく言われるんですが、運と根は理解できても鈍はなかなか理解できなかったんですよね。ちまたでよく言われる「鈍感力」のこと?そんななのデリカシーがないことの言い換えでしょ、ならやだわ。って思っていたんです。
でも多分これは、ノイズに対してのロバストネスのことなのかもしれない。それなら大歓迎。SM58みたいな、鈍だけど鋭な人間に私もなりたい、そう思ったんです。

というわけで、ノイズに対応するためには鋭ばかりでなく鈍も必要である、という今日の主張なのですが、Adobe PremiereではAIで音声からノイズ除去できる機能があることを知って、また悩んでしまいました。

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