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(エッセイ)ルービックキューブはじめました

このエッセイは3,700文字くらいです


 さて、みなさんはルービックキューブをご存知でしょうか。エルノー・ルービックという方が考案された立方体のパズルで、小さな立方体が3×3×3になっており、1列ずつ回して6面すべての色を揃えるというもの。1面を揃えるだけならまだ簡単なんだけど、6面全てとなるとこれがなかなか難しかったりするのです。日本では1980年にブームになったので、子どもの頃に家にあったよという人も多いかも。やったことあるかしら?
 島本、最近ルービックキューブはじめました。
 今回はそんなお話でございます。

 きっかけはお休みの日に息子ちゃんと近所の家電量販店に行ったときのこと。そのお店のおもちゃ売場はそこそこ広くて品揃えも良いので、散歩のついでにしばしば立ち寄るのです。子どもたちが自由に遊べるように、プレイルームも設置されていて、そこにいくつかおもちゃが置いてあって。わが息子ちゃんはその中でもアンパンマンの電子キーボードがお気に入りで、デモ演奏を聴いたり、光る鍵盤をおいかけながら『ドレミファアンパンマン』をたどたどしく弾いたりとご満悦でした。島本はというとその傍らで上手上手〜と眺めているわけですが、ふと置いてあるおもちゃの中にそれを見つけたのです。そう、ルービックキューブを。わぁ、懐かしい。子どものころに遊んだなぁとカチャカチャ回すと、手指に伝わる感触がとても気持ちいい。とりあえずは一面を揃えてみたりして楽しく過ごしていたのです。
 ここでふと息子ちゃんにいい格好がしたくなりました。「揃ったで、パパすごくない?」と、やってみたくなったのです。そうは言っても、無策でどれだけ回しても揃うわけがありません。ここはグーグル先生にお尋ねすることに。「ルービックキューブ 揃え方」っと。そうすると詳しく解説されてるじゃないですか。販売元のサイトにも手順がしっかりと掲載されていて。これならいける。
 息子の演奏するハーフテンポくらいの『アンパンマンのマーチ』を聞きながら、スマホの画面に示された手順の通りにカチャカチャと回す。右、上、で次は右を180度というように淡々と。なるほど、ここにこの色があるときはこっちの手順にすすむのね。そんな風に数分回していると、突然するりと6面揃ってしまった。
 本当に揃ってしまったという感想が適切だった。パズルを解いたのに、きれいに6面揃っているのに爽快感はまるで無いのだ。そりゃそうだ。実際には解いてないのだから。RPGで攻略本を見てあっさりボスを倒してしまったような。そんな物足りなさと言えば伝わるのだろうか。RPGならまだ戦闘シーンのグラフィックやら魔法のエフェクトなどで心が踊る部分もあるだろうが、これは本当に作業だった。手順表を見ながら動かしただけの。
 これでは息子ちゃんにドヤ顔するのもはばかられて、私はルービックキューブをそっとおもちゃたちの中に戻したのです。
 するとなんということでしょうか。あとからプレイルームに来た男の子がキューブ手に取って「うわぁ、すっげー! 揃ってる」と声を上げたのです。なんという罪悪感! なんという後ろめたさ!
 この気持ちを抱えたままではいけない。今後もこのプレイルームに来るたびに、忸怩たる思いを抱き続けるわけにはいかぬのです。
 そう。島本はこのとき、ルービックキューブに向き合おうと決意したのです。

 はじめるとなるとまずはキューブを購入しなければ。
 島本が最初に買ったのは2×2×2と3×3×3が2つセットで1000円くらいのものなのですが、これは正直安物買いの、というやつでした。このあとみなさんが購入するときは最低でもマグネット入りのもの選ぶと良いでしょう。マグネットってなんやねんとお思いでしょうが、回転したときに角がピタッと止まってくれるのです。回しやすさが圧倒的に違います。あとは回したときの気持ちよさも違う。手で持って遊ぶおもちゃなので、触り心地は超重要なのです。
 欲しくなってしまった人に補足しておくと、ルービックキューブはおもちゃ売り場でも売っていますが、Amazonなどの通販で買うのがおすすめですね。先に触れたマグネットの補正がかかるやつは、小売店には置いてないことが多いのです。ただネットショップには最初に島本が掴まされたような安いだけのものも並んでるので、メーカーとしては「GAN」「QiYi」「MoYu」あたりを選ぶのが良いでしょう(受け売り)。
 ここまでの書きぶりでお察しでしょうが、島本は買い直しちゃいました笑。「GAN」のキューブでマグネットついたやつ。1600円くらいでした。これは本当に買い替えて良かったです。
 あと、昔からある「ルービックキューブ」は当然のことながら登録商標で、メガハウス社というところが出しているのが正式な「ルービックキューブ」です。他はほぼ中国のメーカーで「マジックキューブ」「魔方」などの名称で出ています。「魔方」とかかっこいいよね!

 ではキューブも手元に届いたので、会社の昼休みを使って練習することに。家で練習すると、息子ちゃんや奥さんにドヤ顔できないので。パパはいいカッコしいなのです。
 解き方はメガハウス社の公式ページにもあるし、他にも解説ページがたくさんある。もちろん、それらを参考にしても良いのですが、島本の場合はYoutubeの解説動画を参考にしました。「高橋メソッド」というやつ。キューブを縦横に回して色を揃えていくのですが、なんと覚える基本動作(セット)は一つだけという初心者には理解しやすい解き方です。(この解法は簡単にしている分手順が多いので、速く解くのには向きません)
 文字だとわかりにくいでしょうが、ここにその動作を上げてみます。キューブが手元にあればぜひ回してください。

 まずはキューブを両手で正面に構えて、
 ①上面を時計回りに90度
 ②右列を時計回りに90度
 ③上面を反時計回りに90度(①を戻す)
 ④右列を反時計回りに90度(②を戻す)
 です。
 
 基本はこの動作だけ。
 どうです?
 なんとなく、できるような気になってきません?
 この動作を行うと、右上のブロックと右下のブロックが回転しながら入れ替わります。あと、右上奥と左上奥も。そして、この動作を6回繰り返すと、元のポジションに戻ります。
 あまりキューブの回し方を書くとややこしいと思いますのでこのあたりでやめておきますが、要は何度もこの動作を繰り返すことで、キューブを少しずつ入れ替えていくわけです。
 このメソッドは、根っからの文系の島本には合ってたようです。今どこを揃えようとしてるのか、キューブがどう動いているのかを理解しながら解くことで、ついに6面を揃えられるようになったのです。わーい、ぱちぱちぱち。
 安定して揃えられるようになったので、いよいよ息子ちゃんや奥さんの前でできるパパをアピールしなければ。そう思って、会社から持ち帰ったキューブをパソコンの横に置いてみたりしたのだけど、いまいち反応が薄い。
「パパ、これ揃えられるの!?」
「ふふん、そうなんだよ(サササッ)」
 という展開を期待したのだけど、
「できるん?」
「うん」
 という会話だけだった。あれぇ?
 息子ちゃんは揃ったキューブを見てびっくりしたものの、おもむろにキューブを奪い取ってぐちゃぐちゃに崩されてしまった。そしてまた島本が揃えて、息子が崩すという、よくわからない遊びになっているのです。
 ああ、件のプレイルームには先日リベンジを果たしました。置いてあった3つのキューブをすべてそろえてやりましたとも。他の子供達の羨望の眼差しはまだいただいていませんが、楽しみでなりません。
 
 とりあえずの目標を達成したわけですが、まだ飽きずにキューブを回し続けています。このエッセイを執筆当時でキューブを触り始めて10日くらいでしょうか。
 島本はだいたい1分ほどで揃えることができます。意外といけるもんでしょ。
 世界記録は3.13。動画を見ましたが速すぎて笑います。ロボットにやらせると、0.3秒らしい。
 数日前の島本の覚書には「スピードは求めてないけど、2分くらいで揃えたい」とか書いてました。そんなこと書いておきながら、アプリ入れてタイム測ってたりしていますし、沼にハマっている気がするなあ。
 とりあえず安定して1分切るまでは頑張ってみようかと思います。もう少し値の張るキューブを購入してしまわないか、心配でなりません。(フラグか?)
 ヨドバシ梅田のおもちゃコーナーでキューブを揃えてニヤついてる人がいたら、それは島本かもしれません。放置してくださいませ。

 さてさて、これを読んでいるみなさまの多くは日夜、何らかの執筆活動をされていることでしょう。手指を動かすのはいい気分転換になると思いますので、執筆のお供にぜひルービックキューブはいかがでしょうか。おすすめですよ。そして、誰しも人生で4回くらいはルービックキューブを揃えられたらちょっといい顔ができるタイミングが訪れる(島本調べ)ので、この機会にぜひはじめてみようじゃないですか。

 完

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