【山梨へひとり旅】地下カーヴで甲州辛口白ワインに魅了され
10月の鉄道150周年乗り放題では、2泊3日で山梨へひとり旅した。
四半世紀前にぶどう狩りをして以来、降りたことのなかった勝沼ぶどう郷駅で下車し、秋の陽にそびえる「ぶどうの丘」へ。
地下ワインカーヴという所で試飲ができることは知っていたが、いまいちシステムが飲み込めないまま、受付でタートヴァンと呼ばれる容器を買って地下へ降りると・・・
薄暗く広い貯蔵庫にずらりとワインが寝かされ、円テーブルごとに10本ぐらいの試飲用ワインが立っている。
若いグループが大勢いて、ワインをちょびっとついでお味見し、楽しそうに感想を言い合っていた。
それを見てようやくシステムが判明。私もタートヴァンを首からかけ、よさげな瓶を傾けて、大匙いっぱいずついろんなワインを試していった。
こういう時に一人旅はちょっと寂しい。
「これもいいなあ」「こっちもなかなかだ」「これは甘すぎ」
などと心のなかで感想を言ってみたりする。
前を見ると、いつのまにか一人の背の高い若い女性が立っていて、
「これが一番美味しいですよ」
と、一本の白ワインを手に取り、私についでくれた。
「そうなんですか~?」
少し気分がよくなっていた私は彼女としばらく立ち話をした。
お互いに気に入ったワインをちょびっとつぎあって、一度別の場所に行っても、また別のテーブルで一緒になったり。
最後は買いたいワインをかごに入れて一階で購入するのだが、私は最初に彼女が薦めてくれた一本をしっかりとかごに入れた。
シャンモリ・フィエルテの2020年。
今までにこんなに複雑な味の白ワインを飲んだことはなかった。
とにかく美味しい!
自宅に送ったワイン4本は、私がまだ帰らない日に家に届いた。
帰宅後次々コルクを開け、知らなかった甲州ワインの美味しさを堪能した。
最後に開けたシャンモリ・フィエルテには夫婦で完全にハマってしまい、その後、ネットで数回購入した。
私をひとり旅に送り出す夫は、私がいないあいだに自分だけの時間を楽しめるのも魅力のようだが、こうして私が新しい世界を持って帰ってくるのも結構楽しみらしい。
今回の旅では人とのふれあいを感じることができた。
ブドウ農家のやっている民泊に泊まって、素敵な女主人の第2の人生の話を聴くことができた。
身延山の宿坊に泊まり、久遠寺の朝のお勤めに参加したら、常連の女性が優しくいろいろ教えてくれた。
信玄餅が食べたいなあと思って駅前の店で4個入りを買ったら、店のおばさんが賞味期限の迫っているのを一個くれてその場で食べた(^^♪
そんなふれあいが、じわっと心にしみて温かくなる甲州の旅だった。