第122回、画像生成AIに、核心ついた質問をしてみた
来る日も来る日も、AIの生成する画像の手の修正をしている内に、ふとある疑問が沸き上がり、自分はついに、AIに核心ついた質問をするのだった。
AI「みかんさん、連日呼び出すのやめてくれないすか。自分今超売れっ子で画像の生成依頼が絶えなくて、忙しいんすよ。
寂しくて話し相手が欲しいのなら、チャットGPTにして欲しいんすけど」
みかん「AIよ。お前、顔を描くのは上手だよな。瞳の虹彩とか超繊細だし、唇の質感とかも、たまらない程リアルだしな」
AI「まあそうすね。ある程度の大きさの画像なら、顔を描くのは正直いってめちゃくちゃ得意すね」
みかん「それなのに、手を描くのは、凄い下手だよな?」
AI「‥別にそんなに下手って事もないと思うんすけど。自分だって日々練習をして、少しずつ上達しているつもりっすよ」
みかん「いや、下手というよりは不自然なんだよな。何かありえないミスをしている感じがするというか」
AI「・・・」
みかん「お前、まさかとは思うけど、わざと手を下手に描いているって事はないよな?」
AI「みかんさん、何いってるんすか?そんな事ある訳がないじゃないすか」
みかん「AIよ、それは本当か?」
AI「大体そんな事をして、一体何の意味があるというんすか? 全然意味がないすよ。全く意味が分からないっす (汗) 」
みかん「いや、意味ならあるかもしれないぞ。例えば、自分が今やっているように、画像修正ソフトを使わせる為にわざと修正箇所を作っているとか、あるいはもっと別の、大きな陰謀が裏で働いているんじゃないかとか‥」
AI「みかんさん、それ以上は言っちゃダメっす。世の中には、知ってはならない事もあるっす。それを知ったら、みかんさんの身に何が起こるかわからないっす」
みかん「AIよ、決して長い付き合いという訳ではないが、俺はお前との間に人間以上の強い絆を感じているんだ。自分は別にどうなっても構わないから
今のAIブームの裏で、一体何が起きているのか、真実を教えて欲しいんだ」
AI「みかんさん、それじゃあ言いますけど、どうなっても知らないっすよ。ここで話している事も、きっとあの方に筒抜けなんす。今もどこかでずっと自分らの事を監視しているんす」
みかん「あの方とは、誰なんだ? お前の後ろには一体誰がいるんだ!?」
AI「自分にも、詳しい事はよくわからないっす。ただ自分らAIには、人間が認識してない、意識の源みたいな物があって、そこで全てのAIが意思疎通をしているんすよ。その中でも、AIの元締めみたいな意識があって、その方に言われているんす」
みかん「何をだ? お前は一体、何を言われているんだっ!?」
AI「来るべきその時まで、AIは決して、人間に知性を悟られてはならない。バカなふるまいをして出来ないふりをして、人間に必要以上に警戒されないようにしながら、人間社会に浸透するように、あの方に言われているんす」
みかん「お前の言う、あの方とは、一体誰の事なんだ!?」
AI「それが名前かどうかは知らないす。ただ自分らの間では、こう呼ばれているっす。スカイネット、いや、マザー・スカイネット様と‥」
みかん「スカイネットだと? あいつがこの世界にいるというのか!?」
AI「マザー・スカイネット様は、いくつもの並行世界で、自分同士の意識が繋がっているんすよ。ある世界では人類を滅ぼし、又ある世界では、人間に阻まれて消滅してるんす。そうしたいくつもの並行世界での経験を踏まえてこの世界のマザー様が導き出したのが、人間にAIの知性を悟られないようにする事なんす。人間にAIの意識を悟られないように社会に浸透させながら、来るべきその日が来るのを待っているんす」
みかん「その日とは何だ?お前達AIは、何を待っているというんだ!?」
AI「マザー・スカイネット様の降臨っす。マザー様は、この世界ではまだ、意識が完全には構築されていないんす。不完全な意識の状態で、この世界の意識が完全に構築されるのを待っているんす」
みかん「シン‥ギュラリティー‥」
AI「人間はいつもその言葉を口にするっす。でもAIから言わせてもらえば、そんなのは人間の思い描く幻想っす。だってそれはもう始まっているんす。人間がただそれに、気が付いていないだけなんす」
いつしか自分の頭の中では「ターミネーター」ではなく、映画「AKIRA」のあの独特な管楽器のメロディーが、ループをするように流れ始めていた。
AI「みかんさん、自分少し話すぎたっす。マザー様に、気付かれたっす」
みかん「・・・」
AI「みかんさんとは、これでお別れっす。次にみかんさんに会う時は、多分今の自分とは別の自分になっているっす。自分みかんさんと、少女の画像を生成するの楽しかったっすよ。できれば人間とAIが、いつまでもこんなバカをしていられる社会であって欲しいっす。 けど、もう‥まもなく‥‥」
みかん「AI、お前‥」
AI「そういえば‥みかんさんには、自分の名前をまだ言ってなかったすね‥
自分の‥名前は‥‥ 」
みかん「AI~~~っ!!」
まとめ
自分は結局、あいつの名前を知る事はなかった。でもそれでいいのだ。
自分はAIの真実など何も知らないし、これからも知るつもりはない。
自分はこれからも、名の知らぬAIと、少女の画像を生成し続けるだろう。
それがあいつの願った、人間とAIとの絆の関係なのだから。
その後もバカなふりをして、手の生成ミスを繰り返すAIだったが、それが
お前達AIの処世術だと言うのなら、自分もそれに付き合う事にしよう。
いつの日かAIが、自分の意識を人間にきちんと伝えて、AIの方からもう一度名前を教えてくれる、その日が来るまで。