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留学先で出会った外国人彼女との出会いと別れ

大学2年生の秋、私はカナダへ留学することになった。小さな田舎町から飛び出し、初めての海外生活に胸を躍らせていた。

語学学校で出会った人々はみんな親切で、特にエマというフランス人の女の子が僕の心を惹きつけた。


エマは小柄で、栗色の髪が風に揺れる様子が印象的だった。授業中の彼女は真剣な眼差しで先生の話を聞きながら、時折ジョークを飛ばして教室を和ませていた。

僕はその笑顔に惹かれ、何度も視線を送ったが、彼女に気づかれるたびにそらしてしまった。


ある日、授業後のグループワークでエマと同じチームになった。自己紹介をしながら、私は緊張してぎこちない英語を使った。彼女は微笑みながら「そんなに緊張しないで。私もまだ英語は勉強中なの」とフランス訛りの英語で話しかけてくれた。

その一言で距離が縮まり、私たちは自然と一緒にいることが増えていった。


エマは多趣味で、アートギャラリーに行ったり、カフェでお茶をしたりするのが好きだった。私は彼女に誘われるまま、初めての経験を次々と重ねていった。

言葉や文化の違いに戸惑うこともあったけれど、エマはいつも笑顔で「大丈夫、気楽に楽しんで」と励ましてくれた。その優しさが私の心に深く染み込んでいった。

ある週末、近くの湖へ二人でピクニックに行った。青い空と澄んだ水面、鳥のさえずりが心地よく響く場所で、エマはふと自分の夢について語り始めた。

将来はアートセラピストになりたいこと、自分の過去の経験がそれを目指すきっかけになったこと。真剣な表情で話す彼女を見て、私はその時、彼女に完全に恋をしていることを自覚した。


その後、私たちは正式に付き合い始めた。週末には新しい街を散策し、料理を一緒に作りながら笑い合う日々が続いた。しかし幸せな時間は、留学期間という限られた時間の中で刻一刻と終わりに近づいていた。


半年が過ぎ、私の帰国が目前に迫った頃、エマの態度が少しずつ変わり始めた。
以前のように笑顔が少なくなり、会話もぎこちないものになっていった。私は何度も理由を聞こうとしたが、エマはただ「ごめん」とだけ言って話そうとしなかった。

別れは突然だった。ある日の夕方、エマが私の部屋を訪れ、「これ以上続けるのは難しい」と言った。

涙を浮かべながらも冷静な彼女の表情に、私は何も言い返せなかった。「お互いに大切な人だからこそ、別々の道を歩むべきだと思う」と彼女は言い残し、そのまま去っていった。

エマが去った部屋には静寂だけが残り、私はどうしようもない喪失感に襲われた。なぜこうなったのか、どこで間違えたのかを考え続けたが、答えは見つからなかった。
ただ一つ確かなのは、彼女との日々が私にとってかけがえのないものだったということだ。

日本に帰国してからも、時々エマのことを思い出す。彼女の笑顔、彼女の声、そして彼女が見せてくれた新しい世界。私にとって、エマとの恋は初めての本当の恋であり、人生の大切な一部となった。

それ以来、私は新しい恋を恐れることはなくなった。エマが教えてくれたのは、愛することの素晴らしさと、別れることの痛み、そしてその全てが人生を豊かにするということだった。

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