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蒼穹のフリューゲル87

改修版



エノク


です

三日連続の
精神安定剤を
打たれ

落ち着きの
無い
本質の
かけらも
無い程


喪失感

感情の
差が激しく

制御出来ない
恐れがある為


面会謝絶


全て失った

タケが
起きない

今日も

喋る気にも
ならない

毎日
何度も
思い返す度

涙が溢れる




一週間後


窓の外を
見る

いつもの様に

身体も
徐々に動く
様になる

髪が
伸びたのか

足の付け根
まである

お尻で
踏ん付けて
しまうも

精神安定剤の
影響か

気にもならない





通路で
看護婦の
声が聞こえる

何やら
口裏合わせ

私のメンタルケアに
審議中なのか

そう考えたら
内心少し
イラッと来た

意を
決したのか

看護婦が
一人入る

背中を
向けても
分かる



看護婦
「いつまでも話さないわね」
エノク
「 」

私の気を
引こうと
ねぎらいの
言葉を使う

それでも

看護婦
「明日から精神安定剤も
打たないそうだから」
「面会も含めて先生から説明
あるそうよ」

たった
それだけ

少し俯く

看護婦は
笑顔で
私を見る

看護婦
「いつまでそんな顔してるの?」
「彼、目覚めたって連絡しに来たのに」
エノク
「 」



え?

看護婦さんを見る
笑顔で答える

看護婦
「だから言ったでしょ?」
「大丈夫だって」

エノク
「‥何処?タケは?」

看護婦
「この病室の真下」
「527号室よ。偶然にも」

527

何度も
復唱し

ベッドから
転げる様に
走る

上手く
身体を
動かせなくても

看護婦
「廊下は走らない」

看護婦さんの
声が

後ろから
響いた
気がした

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