lost kingdom15
エノクです
アビス
の前
エノク
「行って」
「これでも飛べるから」
アンドロイド
「降ります」
ダイブ
風を受け
パジャマ姿で
暗がりを
抜ける
アンドロイドが
ハイビームで
周囲を照らす
よく見える
少し
聞いてみよう
風を
切る音で
聞こえ
ずらい
だろうけど
エノク
「王様はどんな人?」
アンドロイド
「誠実」
エノク
「大陸を襲うのは?」
アンドロイド
「我々では無い」
エノク
「戦争してる?」
アンドロイド
「対極の信念の元」
エノク
「 」
下界の王は
平和を
求めている
別の勢力が
信念の元で
争いの
火蓋を切る
現状
嗚呼
これで
理解した
王に
会おう
ん?
今の
ダジャレ?
エノク
「アビスを抜ける」
アンドロイド
「システムダウン」
「自由落下」
エノク
「え?」
隠密作戦の為
目立つ
輝きを消す為と
メッセージを
送ると
アンドロイドは
機能停止した
高度が
下がる
日夜
争う
多脚アンドロイドが
俯瞰で見える
変化して
安全な場所へ
移動した方が
良いだろうか
程なくして
アンドロイドが
再起動した
アンドロイド
「王の元へ」
エノク
「下の子達に気付かれたら」
アンドロイド
「攻撃対象」
エノク
「やっぱり‥」
「安全な場所に居るの?」
アンドロイド
「ご案内」
遺跡の
森へと
高度を下げ
密林に
突入する
エノク
「飛行上手」
アンドロイド
「恐縮」
「間もなく」
しばらくして
川の流れる
音が聞こえる
奥に
人影が
見える
エノク
「 」
「え?あの人?」
アンドロイド
「肯定」
その人は
成人男性
旧オウドリーフの
皇帝くらいの
若い人
川で
釣りをする
下界の王
しかも
真夜中
アンドロイドは
丁重に
ゆっくりと
私を降ろす
苔の
生えた
天然の
絨毯に
足を下ろした
エノク
「貴方が王様?」
王様は
視線を
私に向けず
ゆっくり
答える
王
「驚かせてしまったね」
エノク
「ん」
「怖かった」
王
「嗚呼‥彼にもそう
伝えておかなければ」
少し俯く
若い王
彼とは
前回
私の前に
現れた
多脚の
巨大
アンドロイド
エノク
「私のFAPUSを狙撃
しようとしてた」
王
「落下物の調査と
言っていたのに‥」
エノク
「 」
顔を
手で覆う
限り
この人は
悪い人じゃないと
理解した
エノク
「ね、釣れる?」
王
「いや、釣れそうにない」
竿を
引き上げ
釣りを
やめた
その顔は
穏やかだった
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