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Ragura Floating World42


エノクです!

夏休みに入りました

私はネグロおじさんの
元へ向かう

着信の内容には、
私に渡したい
本があるとの事

一体何だろうと
終始分からず
古代図書館へと向かう

地上から伸びる
ビルに覆われ
掻き分ける様に
モノレールは走る

合同学校が見えて来た
端末も教えてくれる

駅に降りて
古代図書館へと走る





エノク
「ネグロおじさん!」
ネグロ
「 」
「ネグロで良いよ」

ネグロはジェスチャーで
しっとすると
静かに呼び捨てで
良いと言う

図書館では静かにと
付け加える

慌てて私は口を押さえた


エノク
「渡したい本て?」
ネグロ
「やっと君の元に戻せる」
エノク
「?」

ネグロが一冊の
古い本を私に差し出す
私には大きな分厚い本

エノク
「ネグロ‥これは?」
ネグロ
「エノク書の解読書だよ」
エノク
「 」

時間が止まる様に
私はピタリと止まる

ネグロ
「魔王からこの
書物を守っていた」
「解読されれば
僕でもお手上げだった」
エノク
「 」
ネグロ
「君が守ったものは
とても計り知れない程
大きい」
エノク
「ごめんなさい」
「よく分からない」
ネグロ
「分からない事は
僕が教えられる」
エノク
「 」

手を出してごらんと
ネグロが言う
私は書物を置くと
両手を出す

ネグロはじっと見る

ネグロ
「今までにない魔力腺だ」
エノク
「え?」
ネグロ
「このパターンは
初めて見る」
「君は‥」

ネグロは私の
手をそっと
離すと

ネグロ
「君は魔法を
習得する事は出来ない」
エノク
「 」

ネグロ
「式を出せても
そこから魔法を
生成する事は
出来ない」
エノク
「何で?」
ネグロ
「式を組むスキルパターン」
「制御下における為の‥」

そこまで伝えると
眉間を摘むネグロ

ネグロ
「君の魔力腺の
パターンは‥芸術的だ」
エノク
「そうなの‥?」
ネグロ
「成長すれば、
より完璧だ」
「この本、そして‥」

目が潤んだネグロが
表情を隠す様に
振り向く卓上に
並べられた本がある

ネグロ
「君が読むべき本を
ここに並べた」
エノク
「‥!」
ネグロ
「式の制御解読について」
「君専用だ」
エノク
「私だけ?」

ネグロは微笑む
私にしか出来ない事が
あの本に記されている

そう教えてくれた


私は夏休みの
時間を利用して
卓上に並べられた
解読書と本を
読み漁る

気が付けば
夢中になって
読み続けた

分からない事は
ネグロが教えてくれた

分かった事は即
実践した
そうして

私に秘められた
スキルが
成長が‥

空いたパズルの
ピースを埋める様に
みるみるうちに
変化した

ほぼ読破まで近付く
頃には三年くらい
かかり



私は小学五年生に
なっていた

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