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蒼穹の見聞録35完


エピローグ

もう

自分でも


言葉に
ならない

いつなのか

何処なのか

良く
分からない

私‥

私は

誰?



ラグラの
最初の
人間


出遅れ

私は

最下位で
ビリっけつ

それでも

突出
飛び抜ける
ものなんて
無い

細腕に
スレンダー

尖って
伸びた

長い耳

赤子時代から
消えない
頬のアザは
幼少期からの
コンプレックス

体力だって
力だって
無い

長生き
出来るかしら?

私の生まれ?

辿り着いた
その先

私の
生きる
世界


世界は
どうなってる?

それは




かつて

侵略戦争が
あったの



私の
両親は

戦火に
飲まれ

既に
他界

廃棄された
ビル群に
気候変動

かろうじて
生活出来る
建物に
住み着く
私は

花屋の
看板娘

エノク
‥です

それでも

不幸だなんて
思った事は
無いわ

私達

人類を
窮地に
立たせ



抹殺し
損ねた
機械歩兵団


だったもの‥


草原が
微風に靡く
高い丘


緑の苔に
錆びついた
ボロボロの
鉄に
塗れた
機械歩兵の
前に立つ

憎しみ?

いいえ

憎悪も
無いわね

だって

私は
一人じゃ
ない

花束を

鉄の
亡骸の
彼の手に
渡す

平和を願う

私の
悲願を
花束にして
託した

私なりの
回答

代償を
払った
彼は

その場から
跪き
両手に
花束を
持って
沈黙

そんな
彼を
じっと
見つめた

私を待つ
幼馴染が
痺れを切らす

タケ
「‥気は、済んだか?」


エノク
「ん?」
タケ
「親の仇に、花束か?」
「変わってんな」


エノク
「貴方の父様から、聞いてなかった?」
「彼、私を此処まで運んだのよ」


タケ
「 」
エノク
「‥私が今、此処に居るのは」
「彼のおかげなの」

だから

タケ
「 」


エノク
「私、幸せなの」
「貴方にも、会えたわ」


タケ
「 」


エノク
「お待たせ。タケ」


タケ
「ああ。風も出て来たな‥帰ろうぜ」
エノク
「ん」

そう

私は

こう
見えて
幸せ者よ

世界が眩しい

風が
髪を撫でる

朽ちた
街並みが

何故か

未来の
希望に

満ちていた


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