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Dragon Dlower4


ロカです

それはいきなり
起きました

初めて
エノクが
病院送りに
なった日

動かない
小さな体
止まっては
動く心臓

家族で
思い当たる
たった一つの真実

侵食者の呪い

カズ兄が速攻で
G-dartを緊急要請

隊員から
声掛けで
呼ぶ様に
生かし続ける様
指示が出る

死なないで

生きて

お姉ちゃんに
なれないまま
こんな‥
別れるなんて
やだ



顔ぐしゃぐしゃに
咽び泣きして
エノクに呼びかけた

エノクも
また動き出す
心臓と共に
生き続けようと
していた

そうしているうちに

来た

窓側から
飛来して来る

ベランダに
飛び降りる隊員が
エノクを抱えて
再び飛び上がる

ロカ達も同行した




蒼穹
「それでまた
引き戻される
つもり?」


エノク
「させないわよ」


蒼穹
「一度呪い殺され
てる身でしょ」
エノク
「生きるのに精一杯だった
私が、二度も同じ手が
通用すると思ってる」
蒼穹
「証明できる?」
エノク
「初めてよ。こんな気持ち」
「分かる?彼らのベクトル」
蒼穹
「まさか、地域を
越えて進軍する気?」
エノク
「ええ、何年、
何十年かけても
世界線を越えて
殲滅に往来する
つもりよ」
「余程私を恐れてる」

蒼穹
「こんな状況で
妙に嬉しそうだね」
エノク
「彼らのおかげよ」
「私も火がついたわ」


蒼穹
「追い詰められた時こそ」
エノク
「どうするかよ」
「大丈夫、死なないわ
もう生かされてるの」
蒼穹
「みなぎってるね」
「分かるよ」
エノク
「ええ。今なら私
怪物だって愛せるわ」
蒼穹
「行きなよ家族が
待ってる」
エノク
「ええ。行くわ」


蒼穹
「生きて来い」




緊急要請で
運ばれた患者の
状態は
急務
とても危険な
状態だった


私はクアル

患者は生まれた
ばかりの女の子

念の為カルテの
新規作成の為
名前を聞いた

クアル
「‥エノク⁈」
「そう、待ちきれ
なかったのかしら」
助手
「緊急手術ですか?」
クアル
「しません。
心当たりがあります」

侵食者の呪い

今の私では
まだ間に合わない

即席だけど
お守りくらいは
渡せるかしら

手術室に運ばれた
患者の姿を確認
なるほど
確かにエノク

髪の色が
物語る

止まっては動く
心電図
以前より強まる
呪いの力

詠唱効果を
サイクルさせて
発動と同時に
エノクの胸部に
あてがう

淡い輝きで
エノクの心音が
安定した

助手
「やりましたね先生!」
クアル
「まだよ」
助手
「え⁈」
クアル
「抑えてるの。十年以内に
呪いを消さなければ‥
時間かかりそうね」

そう
時間はかかる
それでも
死なせる訳には
いかない

クアル
「処置はこれで
終了します」
「家族の方々は?」




先生が
出て来た

早い

結局
処置は
出来たけど
あと10年は
もたない
それまでに
何とかすると
言っていた‥

パパに話が
あると言って
診察室に入って行く

ロカはエノクを見た
心電図は安定
していた‥




タケ
「ひとまずは大丈夫
なんだな‥」
クアル
「ええ、それまで
もう数年はお待ちください」
「呪いを消せるだけの
詠唱効果がまだ不十分です」
タケ
「油断は出来ない‥か」

クアル
「あの時」
タケ
「 」
クアル
「何も出来なかった」
タケ
「辛い選択をさせたな」
クアル
「いえ‥」
「かけがえの無い友人
だったのに‥」
タケ
「クアル‥」
クアル
「呪い一つで匙を
投げるしか‥
出来なかったの」
タケ
「ああ、それでも
アイツは幸せだった」
クアル
「ごめんなさい‥」
タケ
「良いんだ」
「処置が出来ただけでも」
クアル
「急務の際は‥数年かけて
また来る筈です」
タケ
「その時は、頼む」
クアル
「ええ。必ず」



この日

エノクは
無事
息を吹き返した

けど呪いは
まだ消えて無い

抑えられて
いるだけ

それでも
生きている


それだけで
ロカは嬉しかった

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