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蒼穹の見聞録3
エノク‥
うぷっ
詰め寄る
蒼穹の尋問
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私の
義体から
逆流する
インターロックが
発生した
吐き出し
まともに
話せない
膝をつき
行動不能になる
インターロックの
有効期限が
時効となった
節目を
迎えた
此処で
追憶について
語る
文字が
見えた
2歳の頃
その文字は
二つ
ミュート
エンゲ
私の
遺伝子配列の
項目の名称
文字は
成長に
応じて
増えていく
書き留めた
文字は
一冊の
本にまでなり
僅か
16年の
生涯をかけて
解読した
二つの章に
分けられた
内容
天魔の章
神殺しの章
創造と
破壊の
書物
人類の手に
余ると
判断した私は
書物を
暖炉に燃やし
焼却
残るは
解読書
手を伸ばす
私の胸に
動悸が走る
倒れ込み
必死に
テーブルの上の
解読書へと
手を伸ばす
その時
家に誰か
入って来た
この匂い
叔父だ
豹変した
叔父は
動悸で
倒れ込んだ
私を
感情の無い
見開いた目で
私を見る
叔父
「もう一冊はどうした?」
エノク
「 」
苦しい
声が出ない
あと少しで
届く筈の
解読書を
叔父に
奪われた
暖炉に
焼却された
書物を見る
叔父の
態度が変わる
髪を
掴み上げられ
外に連れ
出された
離れの
納屋へと
引き摺られ
投げ飛ばされる
扉を
破壊する
程の威力で
納屋に
放り込まれた
動けない私に
怒号を浴びせる
叔父
「何故燃やした⁈お前が16年かけて解読したものだろう⁈」
エノク
「 」
叔父
「ガッカリだ。叔父さんガッカリだよ」
叔父は
狂っていた
納屋に
響き渡る
笑い
私は最悪の
死期を
悟った