蒼穹のフリューゲル9
摩天楼に
隠れていく
日没を
帰りのモノレールの
車窓から眺める
エノクです
帰ったら
夕飯の支度
フリュ
「安定した一日
でしたね」
エノク
「そうね。けど
良い日ばっかり
じゃないわよ」
部屋の
片付けもある
やるべき事は
まだ沢山ある
山積みの
ダンボールを
一つ一つ開けて
それから‥
エノク
「カーテンも付けなきゃ」
フリュ
「途方も無いです」
エノク
「フリュの手も
借りたいけど」
フリュ
「そこで第三形態です」
エノク
「シッ」
乗客が
何だと視線を
向ける
少しお喋りが
過ぎる
フリュ
「サーセン‥」
エノク
「はあ‥」
溜め息
混じりの帰宅
到着
山積みの
ダンボールを
開けて
夕飯の準備
エノク
「一度には
出来ないけど」
フリュ
「棚も作らなきゃです」
エノク
「それは後回しよ」
ダンボールの
中の食材を
確かめて
痛みやすい
野菜から消費する
エノク
「お肉は無いわよね」
フリュ
「傷んじゃうです」
会話する中
ついでに
カーテンの
設置もしていた
調理しながら
血管、神経を
複数出して
荷物を
取り出していく
エノク
「痛っ!」
指を
骨まで切って
しまった
慣れない
フリュ
「何ができる事は?」
エノク
「私が切らないか
見張ってて」
フリュ
「あい」
そう簡単に
ざっくり
切ってたまるか
切った指は
スッと
元通りに
回復する
血管の先端で
ダンボールの
箱を切る
エノク
「この箱は何かしら?」
フリュ
「えーと、食器類ですね」
エノク
「小皿の位置は?」
フリュ
「小さいので隅です
嗚呼、そこです」
小皿を
取り出す
フリュに聞いて
次々に必要な
物を取り出しては
調理を進める
エノク
「熱っ!」
熱した
フライパンに
血管が触れて
火傷して
しまった
程なくして
何も感じ
なくなった
そうこう
してるうちに
夕飯の支度も
出来る
エノク
「あ」
フリュ
「どうしました?」
エノク
「ご飯炊いてない」
フリュ
「あー即炊きですか」
エノク
「ま、買ってくるわ」
寮の
エントランス
一階は
買い物が
できる
セブンズマーケット
EU
ホームセンターなど
生活に必要な物は
此処で買える
こう見えて
不死身でも
痛いものは痛い
苦しいものは
苦しいし
深刻なダメージは
元に戻るのに
時間がかかる
強い信念と
自分をイメージ
すれば回復も
早まるけれど
私は端末を手に
制服姿のまま
買い出しに向かった
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