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The blue sky of the outlook82

フィールドタワーの
迅速な復旧作業

被害を受けた都市部の
修復をこなすのは
簡単では無い。

募集をかけた天魔重工に
影響を受けた事で
若人が殺到した。

工場の講義室では
収まりきれなかった為、
都市部の演説会場を貸し切り、
入社式が盛大に行われる。

ステージに立つヤン社長
目を閉じて暫くの沈黙‥

会場を埋め尽くす新入社員は
静まり返る。

重い口を開けて皆に語る。

ヤン
「‥まだ16の学生‥
男女のガキを雇った。

そいつらは優秀だった。

優秀すぎた。

それでも僅か一月‥
クビにせざるを得ない
状況だった‥
それ以上踏み込めず‥
僅か一カ月足らずの‥

カゴの中の鳥を逃がす様に」

社長は苦し紛れに語る。

ヤン
「大陸の荒野で
遭難する事態になった‥
男女は無傷で帰還した。

クリフタウンで
資源データの調査に出した。

奴ら‥端末を改造し
150年分の資源データを
午前中のうちに
送りつけて来やがった。

そして、最後の仕事は

嵐の中で下層まで親を助けに
向かい、帰還しやがった」

会場が騒つく‥息をのむ者も
少し間を置く。

ヤン
「語るは安い。
だが‥手放すのは俺自身辛い。

俺達ぁならず者だ‥
奴らの様に優秀になれとは
思っちゃいねぇ。

ただ、三代掛けて
この街を築き守ってきた。」

そして、更なる若人の
力が必要なのだと

そして最後に

ヤン
「頼む。力ぁ貸してくれや」

深く一礼する


新入社員に向けて

堪えきれず、
感極まったテツとイチが
ヤンの元に駆け寄る

レミィズ
「ちょ、お前達‥‼︎」
イチ
「兄貴‼︎」
テツ
「お、俺からも頼む‼︎」
イチとテツ
「頼んます‼︎‼︎」
ヤン
「お、お前ら‥」

ヤン兄弟の誠意が伝わったのか、
沈黙の中、ある若人が拍手した。

それは次々と、一人、また一人‥

やがて一同
歓声へと、
拍手へと変わる。

涙するテツとイチ
ヤンは仰ぐ様に小さく呟いた。

ヤン
「ジジイ、見てるか?
これが今の天魔重工だ‥」

この賑わいを、私とタケが
知る由もなかった。

次回最終話
epilogue

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