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ドラの翼で 八

私に

情は無い

スミスだ



スパイ?

否定はしない

双龍伝説
禁忌

幕末の志士に
なる気は無い

幕府壊滅

目的の為
遂行する

誰の差し金?
答える
義理も無し

刀を手に
怪物に
トドメをさす為
再び牢獄へ
銃を携帯した
足軽アンドロイドを
連れ

牢獄の
小鬼が
戯言を言う

マキ
「侍が帯刀忘れるなんて」
スミス
「口を慎め」
マキ
「じゃあまた撃つの?」

足を撃ってやる

脛に
当たった
らしい

相手に
ならん

問題の牢獄
施錠を解く

慎重に
アンドロイドの
警護の元

頭陀袋から
はみ出す
尻尾が
動いた
痕跡は無い

やるなら
今だ


刀の刃も
通さぬ
体な筈は
ない

抜刀し
頭陀袋を斬る

背中の
鰭が見えた

切開する為
刃を当てた

袋から
金属的な
何かが
転がっている

スミス
「銃弾‥⁈」
「 」

声もあげる
暇は無かった

膨れ上がる
尻尾が
鞭の様に
伸び

一瞬で
私を
背後から
薙ぎ払う

背骨が折れ
壁に叩き
付けられた

おそらく
鉄の
破壊音もした

アンドロイド
もろとも

‥か

此処まで




マキ‥

此処‥

何処?

居ない

やっと目が
覚めた

撃たれて

眠くなって


目が覚めた



誰か
倒れてる

ロボットが
破壊されてる

動かない

暗い

足音

出なきゃ
マキ
探さなきゃ

鉄格子に
熱線を
当てて
溶かす

熱い

通路に出る

銃を構えてる
ロボット?

なら良いや

熱線で
突き当たりまで
放つ

石垣の壁ごと
破壊した

爆発し
音が響く

今マキの声

マキ
「ドラ⁈
起きたの?」
ドラ
『マキ‥マキの声だ!』
マキ
「開けて」
ドラ
『うん!』




ドラ
良かった
無事で

鉄格子の扉だけ
溶かすよう
指示を出す

打ちつけた
頭の痛みは
無い

ドラの
熱線の熱が
鉄格子の
熱量が伝わる

ドラ
『切ったよ』

蹴りで
扉を開く

マキ
「来て。冤罪でしょ?」


レイド
「看守が‥」


ドラ
『マキ、此処から
出れる?』
マキ
「石垣が破壊された‥」
「そこから風があるわ」
レイド
「看守の増援が来るぞ!」
マキ
「ドラ!急いで!」
ドラ
『うん!』

破壊された
石垣の先は
水路

暗闇から
提灯を手に
レイドさんと
脱出した

水路の水の
流れは早く
膨大
レイドさんが
全身水に
浸かる

マキ
「流されないで
しっかり捕まって!」
レイド
「がぼぼっ」
ドラ
『マキ!天井低いよ!』

真っ直ぐ
飛んで

突き当たりを左

その先を右に
曲がり
ひたすらに
真っ直ぐ

レイド
「道は確かか⁈」
マキ
「大富士の伏流水の
流れを逆算して
循環させると
このルート‥」

レイド
「何処へ⁈」
マキ
「蒼木ヶ原の辺り!」

爺ちゃんの待つ
樹海の入り口

この騒ぎで
城は戒厳令が
引かれた筈

御用艇が
血眼になって
探す頃




爺ちゃん
「慌しいの。マキとドラは」
「 」


む?
あれは

爺ちゃん
「来たか!マキ!」
マキ
「爺ちゃん、お待たせ!」

おお

何と

戻って
来おった

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