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Ragura Floating World10

湯煙が立つ源泉に
向かって切り立った
岩肌の上を飛び越え

たどり着く

振り向くと
攻防神が純白に
反射し輝く

カズ
「やっぱり大きいな」

源泉に浸かって
清めろって
事だろうから
先にマヤが

振り返ると
目の前で脱ぎ出した

カズ
「ちょ‥マヤ⁈」
マヤ
「それっ」
カズ
「⁈」

全裸になったマヤに
無理矢理脱がされ
源泉に突き落とされた。

カズ
「熱っ‥」
「マヤ、何考え‥うわっ」

ドボンと飛び込んだ
マヤがニヤッと笑う

マヤ
「禊でしょ?初めての
温泉だし!」
カズ
「マヤは恥ずかしくないの?」
マヤ
「ふうん」

近付いてくる


赤面で真っ赤になる
恥ずかしさのあまり
首元まで浸かる

マヤ
「エルフ族はさ」
カズ
「?」
マヤ
「好きな人には
好きって言える
種族なのよ」
カズ
「マヤ‥///」
「僕だって」
マヤ
「‥僕?」
カズ
「あ、いや‥///」

悪戯に笑うマヤ
湯煙が周りを包む

マヤ
「カズをもっと知ったら
私も変わるかも///」
カズ
「えっ?」


自分の事を
初めて僕と言った
それ以来

カズ
「んむっ」


頭の中が真っ白になる

そこから先は言葉にし難い

その一つ一つを受け入れた

マヤは‥僕の中の
でっかい穴を
埋めるだけでなく
盛り返す。

散々盛り返した後は‥

これ以上は
のぼせるから、
そろそろ出ようと
言う事にした

源泉から出ると、
髪まで濡れた身体を
乾かすから側にいてと
マヤが言う。

カズ
「どうするの」
マヤ
「バルヴィーストィ
ウェーチェル」

マヤが腕を上げ
詠唱する

足元から旋回した
空気の流れが勢いよく
螺旋を組んで流れ出し
勢いよく舞い上がる。

源泉の湯煙がその
流れに巻き込まれ
旋風となって
舞い上がって行く



カズ
「凄い‥髪が乾く!」
マヤ
「へへっ一回で出来たわ」

これでようやく
服を着る事が出来た

二人分を乾かすには
魔力供給を増やす
必要があるんだけど
僕が居る事で出来たと言う。

どう言う事だろう?



岸壁に戻る

攻防神が向きを変え
待機している。

長く迫り出した
スタビライザーの
先端が岸壁に接触していた

カズ
「乗って良いの?」
マヤ
「うん、良いって!」

先端に飛び乗ると

ゆっくり移動を開始した

名も知らない
ランドシップから
離れて行く。

カズ
「デカいな‥大陸なのか」

端から端まで伸びる
大陸規模‥

攻防神の上を
手を繋いで歩く

風が吹く

マヤが呟いた

マヤ
「さっきの話」
カズ
「うん?」

魔力供給を増やす
話について

マヤが言うには
釣り合った心が
魔力供給を増やす働きが
あるのだと言った。

カズ
「お互いが好きだと
魔法の力も上がる?」
マヤ
「良いものに力を
与えるには、悪いことも
知らなきゃいけないから」

そう言う事だった‥
けど、マヤは
真剣な表情で続ける。

マヤ
「けど‥決して
間違えるなって」

カズ
「間違えたら‥
どうなるの?」
マヤ
「デニッシ族の様になるわ」
カズ
「そんな‥」

成果
秩序
宗教

これら戒律が掟となって
縛り付けられ
欲しいものは奪い
本質の限りを尽くす
殺める事も厭わない

デニッシ族と言う
怪物が誕生するのだと言う。

カズ
「アイツらも耳が尖ってた
それじゃ‥」
マヤ
「怖かったの‥同じエルフ
なのに‥こんなに違うから」

エルフの男性はみんな
同じなのでは無いと
マヤは説明した。

確かに穏やかなエルフの
男性は存在する。

マヤ
「ママは‥恋をするなら
早い方が魔力も
安定した成長を
見せるんだって言ってた」
カズ
「それじゃあ」
「こうして好きに
なれたのも‥」
マヤ
「うん‥」

マヤは少し俯くと
顔真っ赤になる

マヤ
「ちと、盛りすぎたわ‥///」
カズ
「ありがとう、マヤ///」
マヤ
「///」


こうして

僕らは街に戻るまでには
夕暮れ時になって
しまっていた。

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