lost kingdom19
エノクです
声はまだ
出ません
痛いし
苦しい
真っ赤な
ベッドに
朱色の
霧が出る
涙が
止まらない
まだ
回復傾向
今後に
向けて
ママも
会議に
行く様になる
お姉ちゃん達が
心配して
来てくれた
イーノ
「エノク‥声出ないって
聞いたの」
エノク
「 」
ロカ
「痛い‥よね?」
私は
頷く
端末を
使って言葉を
うつ
エノク
『まだ回復傾向』
イーノ
「おでんになってたから」
ロカ
「引き抜くの大変
だったんだよ」
エノク
「 」
想像したくもない
けど
下界の子達は
何とかしないと
セイラが
様子を
見に来てくれた
セイラ
「どう?」
エノク
『まだ』
セイラ
「声‥当分出ないわね」
「ダメージ深いから」
エノク
「 」
痛い
身を捩る
更に痛い
悲鳴も
出せない
イーノ
「端末使うのも辛いなら
無理しないで」
ロカ
「また来るね」
エトラは
どうしてる
だろう?
廊下で
カズが
待っていた
カズ
「どう?」
イーノ
「まだ回復傾向」
ロカ
「声帯突き破ってるから」
カズ
「時間かかるね」
「仕方ない。エトランゼは?」
ロカ
「 」
イーノ
「無理無いけど部屋に
籠ってる」
カズ
「エノクを守って
あげたかったのに
またあんな目に
会ったから」
イーノ
「あっちのケアも必要よ」
ロカ
「行って来る」
カズ
「うん」
エトラ
です
動かない
エノクを
見た
何も出来なかった
尻尾を
焼き切られて
ワイヤーに
貫通し
刺さった
身体から
流れる夥しい
血塗れの姿
無理矢理
引っこ抜くしか
無かったのが
回復も
遅くなった
原因だった
不死身
だからって
あんな光景
見せられたら
どんな顔して
会えば良い?
魔法覚えて
それで
飛べない私に
エノクを
守れる
だろうか?
三つ子ちゃんが
来てくれた
イーノ
「流石にこたえたわ」
エトラ
「 」
ロカ
「大丈夫?」
エトラ
「エノクは?意識
取り戻したの?」
イーノ
「回復傾向で
意識取り戻すって
‥残酷よね」
ロカ
「見てて辛い」
ビオラ姉ちゃんの
時だって
平常心で
いられなかった
けど
エノクの為に
私が
出来る事は
エトラ
「エノクに会って来る」
イーノ
「えっ?」
エノク
「少しでも良くなって
ほしいから」
「行って来る」
ロカ
「?」
私に
出来る事
廊下を歩く
エノクの
部屋の
前に立つ
ノック
返事は
無い
そっと
ドアを
開ける
エノクの
鮮血で
赤い霧が
出る
想像出来る?
麻酔の無い
激痛
苦しみに
悶える
9歳の
女の子が
失った声帯で
悲鳴も
あげられない
その
苦しみから
気絶して
いたのか
歯を食い
縛ったまま
動かない
エノクに
近付いて
両手をかざす
エトラ
「シュタルク」
「クーア!」
輝きが
部屋を
照らす
少しでも
エノクの
苦しみが
解ける様に
全力で
唱える
歯を
食い縛る
表情が
変わる
輝きは
30秒間
続いて
消えた
一気に
ルーンを
消費した
これくらい
安らかに
寝息を立てる
くらいの
表情
涙が
止まらない
私が
弱いから
もっと早く
やれば
こんな
自分に
腹が立つ
後は
回復を
待つ
涙を拭い
拳を握り
私は
部屋を出た
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