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Ragura Floating World38


マヤだよ。

カオの特殊な
悩みを聞いて
驚愕してる‥

カオは意外にも
第三形態は見せる事が
できると言う。

マヤ
「良いの?」
カオ
「大丈夫、これよ」

カオが掌を出すと
何やら赤く細い
鋭利な繊維が
露出した

これは一体‥


カオ
「何かわかる?」
マヤ
「いえ‥触手?」
カオ
「体内構造はみんなと
変わらないわ」
「つまり、私の血管‥」
マヤ
「 」


第三形態‥
それはつまり
体内組織を外部に
露出できる力
だと言う



思わず絶句した

マヤ
「カオ‥」
カオ
「神経の伝達速度に
合わせた瞬時の対応で
露出する。つまり時速に
して‥500km」

俊敏な鞭
アンカーなど
用途は自由に扱える
体内器官である

触手と同じ働きも
可能だと説明する。


残るは‥

カオが押し黙る

重い口を開こうと
公園の並木を眺めて
しばらくして答える

カオ
「‥あの並木くらい
なら跨げるかしら」


マヤ
「え、ジャンプで
飛び越えるとか?」
カオ
「いえ‥マヤが知ってる
私の形態ではなくて」

体内組織の暴走化
筋肉の膨張化
意識の暴走化‥

それを自ら
制御出来なければ
ただの巨大な破壊神
そのものだと言う。

肉食恐竜の様な
鎧の様な金属物が
露出した発達した足

被弾しても再生する
死ぬ事の無い不死の体

黄金に光る眼光



背中から露出する
全長三分の一
を閉める巨大な爪


並木を跨ぐ巨体‥
建築物さえ破壊する
長く太く伸びた尻尾

強靭な顎を持つ無数の牙と
真っ二つに割れた口



鋭利な時速500kmで
飛び出す繊維器官

二乗されたエネルギーを
放つ閃光‥

カオは震える
それでも

カオ
「それでも受け入れて
くれる誰かが
愛してくれる誰かが
一人でもいるなら‥私
何されても構わない‥」

俯き涙するカオ

私ももらい泣きする

行動は早かった。

エノクが助けた
あの男に連絡した




「アンタ、あん時の⁈」
マヤ
「聞いて、今すぐ彼女に
会って!」

「平日だぞ⁈仕事中‥」

ぶった斬る

マヤ
「アンタと彼女の
出会いがこれで決まるの!」

「⁈」
「な、涙声に
なってないか?」
マヤ
「私の事はいいの!
彼女が、カオが待ってるの」

「発信のログ‥そこに
いるのか⁈」
マヤ
「そうよ。ねえ、
離さないって約束して
彼女を愛してあげて!」


「‥分かった。社長に
連絡するから待って
もらう様伝えてくれ!」
マヤ
「ベンチで待っているわ」


そう伝えると
通話を切る

涙ながら
私を見つめるカオが
抱きしめてくれた。

カオ
「ありがとうマヤ‥
私、踏み出せなくて」
マヤ
「カオとアイツの幸せ
願ってるわ」

私の
かけがえのない
友人

調和の時代を
生きる
私達に

たとえこの様な
理由があったとしても

カオの打ち明けた
勇気と
私のお節介は

とりあえずここまで


マヤ
「そろそろ行くわ」
「また連絡して」
カオ
「ええ、ありがとうマヤ」


カオの眼差しが
忘れられない

誰よりも
先の幸せを願って



私は公園を後にした



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