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マインド・トリガー3



ランドシップが漂流する

青空の下、
屋上に立つ輝戸川悟が

屋上へとやってきた私を
引き止めた。


「射撃練習の邪魔に‥」
輝戸川悟
「良いんだ、さっきはすまない」

「え?」

正論に腹を立てた訳では無い。


煮え切らない自分に
苛立ちを覚えた自分に
輝戸川悟は
自分に非があったと謝罪する。

私と同じ様に‥


「そりゃ、私も確かに憂さ晴らしで此処に来た訳だけど‥」

「なら似たもの同士さ」

輝戸川悟が空き缶を手に
直上に放り投げる

サブマシンガン‥
いや、アサルトライフルで
空き缶目掛けて連射した。

ブブブッと連射された
半霊半物の弾が
空き缶に連続で当たる。

扉の重さに風圧‥

このままの姿勢は辛い

私は屋上へ移動する。

閉まる扉

あ、

直上の空き缶が
輝戸川悟の頭に当たる。


「って!」
「〜〜っ」

「プフッ」

「笑えるじゃないか」

「え?」

「長いこと笑えてなかっただろ」


ああ‥

そうかもしれない。

今日までの私を
エノラやゲンが見ていたなら
どんな心境だっただろう‥


「ありがとうキッドさん」

輝戸川悟の目が点になる。
少し赤面

キッド
「キッド‥?」
「あだ名で呼ばれたのは」
「‥初めてだ」

「あ、いや‥輝戸川だからキッ」

赤面

変な汗がチロチロ垂れる。

今、
私の顔は人生で
一番変な顔を
しているだろう。

キッド
「キッドで良いよ笑」

「うぇ‥」




教室に戻る

生徒の大体は戻っていた。


気になるのが

私に掃除日直を押し付ける
女子が浮かない顔をしてる事と

黒い霊体の姿が無い事‥

キッドさん
仕留め損なったか‥

これで奴も凶暴化する事は
充分あり得る。

その時は私が撃つ。





放課後


掃除に取り掛かるも

3人の女子が気まずそうに
私に話しかけてきた。


つかさ、あさぎ、まお

この3人。

その仕草はこの教室を
取り囲む環境そのものに

嫌悪する様に
彼女達の挙動が
物語っている。

そんな事私でもわかっていた。
掃除も日直も
押し付ける程の嫌悪感。

元凶は‥

私が一歩
咄嗟に後ろへ下がる。



窓から教室に入る
黒くデカい蜘蛛の霊体が
長い足を伸ばし、私に
襲いかかって来たからだ。
その一瞬をかわす。

脅威となるなら
容赦なく撃てる。

ありったけのベクトルを向け
霊体を睨みつける。

3人には見せなかった
私の剣幕にギョッとする。

反撃される前に
左腕を突きつけて
唱える。


「撃鉄」

マグナム口径の拳銃が現れ
そいつでトリガーを引きまくる
銃口から久々に火を吹く

反動も無く表情を崩さず撃つ。

キッドさんが
打ち込んだ穴より
デカい穴が次々に開く。

右手にもう一丁
マグナム口径の拳銃を出し

私は
トゥーハンドに切り替え
更に打ち込んで


止めた。

消える霊体
教室の雰囲気が変わり
輝く青空が見えた。

3人にクルッと振り向き
ニコッと笑って見せた。


「もう、大丈夫かな?」
つかさ、あさぎ、まお
「 」

「うん?」



唖然とする女子。

そう


イジメなんて無かった。
これで問題は解決。


後日分かった事

この3人に目をつけた
千鶴ちゃんが、職員室で
先生に言いつけたらしい。

私はこのまま掃除や日直を
続けても良かったのだが


それもここまでだろう。
3人がそそくさ掃除に取り掛かる。

私も手伝おうか聞いてみたら

ぺこぺこお辞儀され
丁重にお断りされた。


3人組と霊体から
解放された
日常が始まった。

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