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蒼穹のフリューゲル15


私の日常は
この上層の街
コロッサルグラッド・シエルで
大きく変わった

沢山の仲間達と
共に生きる


彼らは彼らの
生き方で

私は私の
内包者としての
生き方がある


エノクです

安定した
生活を迎え

部屋の荷物は
ダンボールから
全て出した

私は

自分が
内包者である事は
普通に
曝け出す
様になる

もういちいち
隠す必要は無い

堂々と生きる
事にした

まとめた
ダンボールを
束ねて一度に
運び出し
所定の廃棄場所に
向かう

相手が
どんな反応でも

ブレずに生きる
多様性の尊重

私の生きる
この世界に
どうしても
必要な心

エレベーターから
エントランスへと出ると
廃棄場の場所を
フリュに
調べてもらう

フリュ
「あっちスね」
エノク
「ありがと、フリュ‥」
「 」
フリュ
「‥お姉さん?」
エノク
「 」

一本の立木に
向き合う
少年がいる

終始
じっと
見つめると

少年は

ベクターBOXから
バスケットボールを
取り出し
バウンドさせて
右手で掴み上げ
構える

フリュ
「‥彼、木に当てるん
でしょうか?」
エノク
「‥幹を見てフリュ
バスケットゴールが
あんな所に」
フリュ
「 」
「はい?」
エノク
「シッ黙って」

集中する

投擲
そして

フリュ
「うお!入った!」
少年
「誰だ⁈」

エノク
「 」
「凄い‥」

少年
「いや、お前も凄い事に
なってるんだが」

エノク
「はい?‥あ笑」

背後の
ダンボールの
束に気付いて
慌てて説明する

彼はタケと
名乗りニカっと
笑った

跳ねて転がる
バスケットボールを
手にタケは
私に話す

タケ
「凄いな、怪我は
治ったのか」
エノク
「えっ怪我?」
タケ
「もろに電車に
跳ねられたろ?」
「覚えて無いのか」
エノク
「あ、あ〜」
「気にしないで笑」

その時
一人の
女子が叫ぶ

女子
「タケ!そいつ
内包者よ!」
タケ
「 」


強い
ベクトルが
刺さる
タケは
無関心に
彼女を睨む

タケ
「だから何だ」
女子
「怪物よ」

エノク
「 」

嗚呼

堂々と
言うか

それでも

ブレる訳には
いかない

タケの
形相が変わる

タケ
「やめろ、おい!」
「消えろ」
女子
「な、何‥知らない
女に」
タケ
「悪い、コイツ育ち
悪いんだ」
エノク
「 」
タケ
「ダンボール
捨てるんだろ?
案内するぜ」
エノク
「あ、ありがと」

タケに
案内される

背後の刺さる
ベクトルが強まる

歪んだ
ベクトルが
痛い

それでも
私は

堪える


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