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mystery gem45

口や鼻が無い
巨大な
施設で
上半身を
晒す「巨獣」

足に力が
入らず

後戻りが
出来ない程に
追い詰め
られた



見下ろす
参謀が
饒舌に
語り出す


参謀
「石は巨獣の中にある」


カナ
「えっ?」


参謀
「石もプラントも
どちらも人類の
手に余る」


カナ
「‥知ってたんですか」


参謀
「私だけでは無い」
「他国に知られては
君の結末は頭部に
銃弾を喰らうより
最悪な終日を招く」


カナ
「そんな‥」
参謀
「石と同化せよ」
カナ
「 」



同化?

饒舌に
なった
参謀が
私に放った
最悪な言葉

カナ
「ど、同化って」
参謀
「石の総エネルギーは
巨獣の動かす動力に
相当し、その肉体では
昏倒、寝たきりが
関の山だ」
「姫君は巨獣の
血肉となって循環する
人類の更生に
協力してもらう」

嫌だ

言葉が
出ない



首を振って
拒絶する

こんな
怪物に
される為に⁈

参謀
「拒絶か‥石を
返してほしいならば
その力無い足で
取りに行くかね?」


カナ
「 」

参謀が
拘束を
解いた‥⁈

立て

立って
石を
あの子達を
取り返して

振り絞って
巨獣に向かい
走り出そうと
したその時

参謀
「姫君の秘めたる全ての
奇跡で体現したまえ」

私の
背後

銃声が響く

参謀の
ベクトルが
背を向けた私
目掛け

発砲する

呼吸器に
到達した
銃弾が

倒れる
私に

参謀は
再び
発砲

吐血

床は
鮮血

息が出来ない
真っ赤に
染まる



走馬灯が
よぎる
以上に

石を思った

少しずつ
見えてきた

それなのに

ごめんなさい

私‥

母親
として

会いたかった



玉座の間

王の居ない
デカい
椅子

どうなっている?

王は?

大臣は
何処だ?

部下に問う

参謀から
説明があると
頑なに
口を閉ざす

嫌な予感がする

カナ

姫君よ
何処に?

探す

この広い
王都の
施設を

銃弾に
倒れて以来の
帰還を
果たした

城は
驚く程に
静まり返っている

全ては
参謀の手の内

部下は
誰一人
答えられない
分からないと

ただ一つ

巨大な怪物の
建造計画を
内部で
実行
していたと

参謀が
居るとすれば
そこか

何を企む?

辿り着く先

研究室

いや
何処だ?

繋がれた管が
プラントに
向かい
伸びている
誰だ‥?



絶句




死んだのか

生きているのか

分からない

昏睡

それでも

身動きが
取れない
意識の
狭間

誰かが
篭った声で
叫ぶ

私‥

私を呼ぶ声

変ね

目は
閉じてるのに

「カナ!」と

私を呼ぶ

この声

嗚呼

殿下

やっと来てくれた
けど
ごめんなさい

私‥

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