Ragura Floating World31
退院許可の
降りない身体で
息が上がり
身体が痛み出す
その場から一歩も
動けない
それでも
ギリギリまで待つ
ゆっくり目を開ける
目が潤む
魔王は渾身の力で
無数の剣を呼び出し
私に向けた
宙に静止する
刃の先端から
殺意のベクトルを
感じ取る
ギリギリまで待った
後は‥
涙が溢れた
魔王
「何か思い残す事はあるか?」
エノク
「‥‥」
魔王
「散るが良い」
エノク
「聖釘」
私の周囲に
展開された
12本の聖釘が
無数の剣を
最後部に伸びた8本の
副砲で破壊する
微動だにしない
静止した聖釘から
一発だけでも
全96発の副砲の
閃光が放たれた
魔王
「き、貴様‥‼︎」
「ならば‥」
詠唱するが
発動させはしない
12本の聖釘は
一瞬で転移移動し
魔王を取り囲み
次々に主砲を
効果範囲の威力で放つ
荒削りに魔王は
痛めつけられる
笑う魔王
魔王
「‥良かろう。ならば
この一帯ごと
吹き飛ばす‼︎」
「グランデ‥」
全ての聖釘の鋭利な
先端が魔王に刺さる
エノク
「 」
魔王
「エクスプロジオ‥」
効果範囲に
指定された威力は
魔王を集中的に
エネルギーを解放
一斉掃射
魔王の断末魔と
発光が図書館を包む
一帯が閃光に包まれ
その輝きはフッと消えた‥
終始涙で前が
見えなくても
魔王の最後を
看取った私は
その場で
泣き崩れた
そこにネグロが立つ
立てない私を
そっと
抱き上げた
嫌だ
もうこんなのは‥
この日初めて
私は
魔王を奪った