Ragura Floating World35
奈落へと身を
投げた男をカオから
譲渡され出会った
ミタマと連携して
助け出した
男は脱力して
俯いたまま
黙り込む
ママは目を細め
男から動機を
聞き出した
重い口から開いた
言動には
年の数より
振られまくって
自分の情け無さから
自暴自棄に
成り果てていた
マヤ
「そんなところかしら?」
男
「勝手に並べないでくれ!」
エノク
「夫婦?」
男
「‥ど」
マヤ
「童貞君」
男
「言わんでくれ
子供の前で!」
違うのかと
聞き出したら
概ねそうだと
項垂れる
ママ鋭い
誰かを求めてやまない
寂しげな眼差し
見つめる私は
ママに聞いた
エノク
「カオお姉さんと
会わせる?」
ママは深い
ため息を漏らす
こんな奴でも
縁とは‥
なんて言って
マヤ
「アンタさぁ」
男
「?」
マヤ
「身を投げる覚悟
あるんなら
誰かを愛して
舞い上がる
覚悟くらい
持ちなさい」
男
「は、はい」
エノク
「約束」
男
「すまん!約束する」
マヤ
「ハア‥手頃な男
捕まえたと伝えるわ‥」
エノク
「そうだね!」
「流石ママ!」
男
「⁈?」
終始男は分からないまま
私達を見つめる
迷子の子供を
保護した大人の雰囲気で
ママはカオに連絡した
カオお姉さんの
ビックリした声と
同時に、少し嬉しそうな
声が小さく響く
ママと笑顔で
顔を合わせた
男は分からないまま
事情を聞くまで
混乱していた様でした。
男
「え?俺に紹介
したい女性がいる⁈」
「一体どんな方だ⁈」
エノク
「綺麗なお姉さん」
男
「良いのか、俺なんかで」
エノク
「約束」
男
「あ、わ、分かっている」
マヤ
「受け入れてあげて。
どんな理由でも」
「それが条件よ」
男
「助け出して‥
更に紹介まで
何故俺なんかに‥」
マヤ
「人助けに?」
エノク
「理由なんて必要無い!」
男は深々と
お辞儀をする
男の連絡先を
カオに伝える
帰り際の人助け
ママと達成感を
感じながら
私達は家へと帰った。