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Ragura Floating World52
う‥ん
エノクです
侵食者に
操られたのか
意図的に
よるものなのか
それは分からない
頭や身体に
鈍い痛み
感覚の違和感
流血の感触を感じ
ゆっくり
起き上がるも
立ち上がれない
強制転移を
終えた私が
スクの
もとに駆け寄ろうと
したが
問答無用で
昏倒させられた
震えが止まらず
その場から
姿を消した
スクを思い
涙が溢れる
どんなに不死身でも
絶海へと
身を投じたなら
翼も無い彼が
戻る方法なんて
蒼穹
「絶海に何が
あると思うの?」
エノク
「え」
蒼穹
「ブレたら分からない
だろうけどね」
「落ち着いて。
来るよ」
エノク
「 」
ポータルの輝き
その場から
海水と共に
現れた
スクが
横たわったまま
転移された
私はスクの
意識が
戻っていないのを
確認すると
G-bartに
緊急要請
何か出来ないか
問い合わせた
内包者の彼
侵食者の
猛攻を受けた
暴走後では
私も迂闊に
手出し出来ない
事情を説明した事で
明らかになった
スクへの対応が
分かった
近付いてはならない
激情を抑えて
救援を待つ事
だと言う
私は吹っ飛ばされた
理由がスク自身の
配慮だとこの時
理解できた
手荒でも
侵食者の
ベクトルは
スクの中で
存在する
‥まだ来ないかしら?
その時
来た!
上から
私のログを
手繰り寄せ
G-bartの
空中起動機が
舞い降りる
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風が吹き荒れ
収容ハッチが開き
数名の救助隊が
飛び出して来た
私は安堵するが
身体の平行感覚が
良くない
自力で歩けるかしら
鈍い痛みに意識も
ボーっとする
隊員が意識の無い
スクの胸部に
心臓部に
機材を置いて
距離を取る
私の元まで退避
すると救命機を
リモートで
作動させる
スクの胸部から
圧着音が聞こえると
心臓マッサージ
による強い
反動が起きた
ビクんと跳ね上がる
仰向けのスク
反応はまだ無い
隊員が二度目の
心臓マッサージを
リモートで行う
再び跳ね上がる
スクの身体から
無数の体内繊維が
勢い良く
飛び出し
地面に突き刺さる
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驚愕した
私が駆け寄って
救命処置を
していたら
確実に命を
落としていた‥
それでも
良かった
これで‥
私は再び
意識が遠のいた