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ドラの翼で 七

松明が
無ければ


牢獄に
引きずられ
拘束された


放り込まれた
衝撃

天井からの
水滴が
頬に落ち
目が覚めた

男の声

スミス
「いつまで待たせる」
「早くしろ。目覚めたら
厄介だぞ」
マキ
「 」
「?」
スミス
「ん?早い目覚めだな」

牢獄の回廊
石畳で
ガラガラ
音を立てた
リヤカーを
引く
配下

目を見開く

頭陀袋に
詰め込まれ

はみ出した
尻尾が垂れる

動かない
ドラ


スミス
「あんな銃でもなければ
倒せんとは」
マキ
「アンタ‥」
スミス
「アンドロイド専用
狙撃ライフルだ」
「貫通すらしなかった」

怒り

鉄格子
目掛け
渾身で
頭突く

血が垂れる


マキ

「私達だって血は赤い
それを‥!」

スミス
「不死身が何を言う」

銃口を
頭部に向け
発砲した

痛みで
転げ回る

再び
ガラガラと
音を立て

ドラを連れ
奥へ
消えた

スミス
「ナイフでは刃が通らん」
「刀でもなければ斬れまい」

この男

解剖でも
するつもり
だろうか

私は
ドラの様に
特殊な力を
持っている
訳じゃない

牢獄の
施錠を
済ませ

来た
回廊を戻り
見向きもせず
男達は
撤収した

起き上がり
後ろの気配に
目を向ける


煙管を
咥える
男が一人
ベッドから
座り
こちらを
見ていた


「凄いね君」
マキ
「‥冤罪?」

「そんな所」
マキ
「じろじろ見て
異端は珍しい?」



「薬師なんで」
「治療してあげ
たいんだけどさ」


目を丸くする




男は私を見て
小鬼でないと
安心したのか

溜め息ひとつ
ついて

笑う



「レイド。前は詐欺師」
マキ
「足洗ったけど‥?」

「まぁ、容疑残ってた笑」
マキ
「あ〜笑」



「小鬼じゃないなら
治療させて。女の子は」
マキ
「嗚呼、顔命‥だっけ?」

鉄格子に
頭をぶつけた
傷口に塩を
塗るのは
勘弁だけど

けど
レイドさんは
慣れた
手付きで
血を拭い

取り出した
軟膏を
頭を出した
私に塗る

マキ
「あ、しみない‥⁈」
レイド
「刺激の無い良薬は
そう言うものさ」
マキ
「ありがと!私マキ」


マキ
「 」
レイド
「さっきの‥聞くのは
野暮か」


マキ
「私の弟」
レイド
「 」
「聞くべきじゃなかった」


マキ
「もう無理」


その場で
崩れ落ち

私は泣いた


私の
嗚咽が

牢獄に
響いた

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