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Ragura Floating World47
あれ程
止まらなかった
涙がようやく
ピタリと止まった
ランドシップの
圏内から母体も
離れて行った
事になる
授業も始まり
みんなの涙腺も
戻った様だ
スク
彼は
結局涙を
流す事は無かった
けど
自分の中の変化を
少なからず
感じ取る事が
出来たのでは
無いだろうか
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私はそう願う
授業が終わると
母体の話題で
持ちきりの
みんなの中
スクは私に
話しかけて来た
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スク
「母体の影響かは
分からないけど」
エノク
「ん?」
スク
「君の影響も
あるかも
しれないんだ」
エノク
「スク‥」
私は机に
座ったまま答える
エノク
「私は変えられないの」
「スクの本質は」
スク
「え」
エノク
「スクが変えるの」
「ひっくり返して」
私は笑顔で答える
スクは
半信半疑だった
時間はかかるだろう
スク
「それでも」
エノク
「ん」
スク
「ありがとう」
エノク
「私も」
スク
「え」
エノク
「ありがとう、だけど」
「一人はツラいの」
スク
「‥そうだ、ね」
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スクが笑顔になる
まだ彼と
話しかけた
ばかりの日
私とスクの変化は
まだ
始まった
ばかりだった