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lost kingdom37終



俺は

この田舎町で
育った

タケだ

レジスタンス?

嗚呼

町の
大人の
事だろ

あの日
突然現れた
巨大な
十字架

スレスレに
伸びた
真っ直ぐな
閃光

俺は
走った

どんな
奴らだ

デカい
十字架



閃光に
向かい
辿り着く
寸前

ゆっくりと
十字架は
動き出す

戻って行く
間に合わなかった

現場には
昏倒した
大人達

壊れた
ショットガン

赤い霧が
立ち込める

血の量

後から
知ったのは

重傷を
負ったのは

俺と
同じ歳の
女の子
だった



今でも
思い出す

男ばかりの
田舎町で

飲食店で
皿洗い



嗚呼


バイトな

店主
「タケ、ゴミ溜まった」
「捨てて来い」
タケ
「はい」


店主
「返事だけは一人前だな」
タケ
「 」

出す
飯だけは
一人前
だろうに

並々溜まった
生ゴミを
縛り掴み
裏のドアを
全開にし

処理する

タケ
「‥ふう」
「 」

此処は
路地裏だ

何故

タケ
「誰だ?女の子」
少女
「 」


タケ
「 」

麦わら
帽子を被る
俺と同じ
くらいの歳の
女の子だ

町じゃ
見ない顔だ

少女は
少し俯き
口を開く

少女
「確かに此処」


タケ
「‥何がだ?」
少女
「私の腕が吹き飛ばされたの」
タケ
「 」
「あるだろ」


少女
「そうね。治ったから」


タケ
「 」
「あの日、十字架の下で
何があったんだ?」


少女は
ゆっくり
顔を見せる

少し
悲しげに
俺を見る

タケ
「何故来た?報復か?」


エノク
「調和」


タケ
「調和‥?」
店主
「タケ!何してる⁈」
「何だ?あの髪の色‥まさか」


戻る店主が
店に消えると
銃を手にした

まずい

タケ
「逃げろ!」
少女
「 」


タケ
「来い!」

迷ってる
暇は無かった

腕を掴み
俺は
走った





エノクです

名前も
知らない
少年が

私の手を
掴み
走り出す

振り向くと
店から
銃を手に
構える
コック

発砲

壁に着弾

此処までか
私の旅も

それでも

一度は
私の
左腕を
奪った
レジスタンス

なのに
彼は

私の
手を取り
走り出す

嬉しい

握る手の
温もり



彼の
背中が

胸の
高鳴りを
感じた

嬉しかった


私は

初めて恋を
覚えた



それが

タケとの
最初の出会い
でした




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