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Ragura Floating World49


曽祖父の件

曽祖ハハの
おかげで
何とか私は
乗り越えた

しばらくして
落ち着きを
取り戻した頃

学校に通う

小学5年で
看取るとは
思ってなかった

挨拶しながら
スクはいるか
花壇の方を覗く

スクが居る

花壇の範囲を
広げる為に
囲いを広げていた
様だった

スクが私に気付いた

スク
「エノク‥」
エノク
「おはよ」
スク
「ああ‥おはよう」
エノク
「広げたの?」
スク
「うん。花壇の
囲いは出来た」

良かった
気分転換にスクの
手伝いができる


エノク
「手伝って良い?」
スク
「頼む」

囲いに土を
盛っていく

手に土が付いたが
構うものか


細い腕で土は
沢山盛れない
それでも

スク
「急がなくて良い」
エノク
「ええ」


長い髪が前に
かかってしまう
かき揚げようとした時
頬や鼻に土が付いて
しまった

スク
「あ」
エノク
「ん?」
「あら」

二人で笑う

嗚呼‥
そうだ
スクは笑う

ちゃんと
感情がある

エノク
「笑ったの‥
何か久しぶり笑」
スク
「大変だったね」
エノク
「最近泣きっぱなし」
スク
「僕は‥」
エノク
「ん?」

親を看取っても
涙が出ないん
だろうか、と
スクが言う


エノク
「スク、それは
間違ってないわ」
スク
「えっ⁈」

泣き虫でも
血も涙も
見せなくても
間違ってなど
いない

エノク
「分かるの
人の悩みは
それぞれ違っても
間違ってない」
「スクは
それで良い」
スク
「‥君は」
エノク
「ん?」
スク
「いや‥けど」
エノク
「何何?」

スクは私を
傷付けたく
無いのか
しどろもどろに
視線を逸らす
笑顔で聞いた

エノク
「言って?」
スク
「怪物には見えない」
エノク
「侵食者を倒しても?」


スク
「え?」
エノク
「スクと出会った時
母体を破壊して来た」
スク
「君は‥」



ブルッ

悪寒

ゾクリと
霊的な冷たさを
感じ取る

迅速に
フィンガースナップ

パチンと鳴らす

足元から式を
展開させた

エノク
「来たわ」
スク
「何が?」

侵食者

嗚呼‥そう

言い忘れていた

奴は冷たい

私にはそれが
すぐに分かった

式は五段に増え
私の直上で止まる


目を見開き
私を見つめる
スクの驚きの表情

スク
「‥それが君の力⁈」
エノク
「⁈」


スク‥
あなた
見えるのね

嗚呼

だったらもう
遠慮しない

私は
学校の更に
裏側へと
向けて走った

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