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Ragura Floating World45
蒼穹の
フォローは続く
私一人で
ラグラを救う
訳じゃ無い
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優等生に
なる必要も無い
そんなん‥
なりたくも無い
それでも
私の創造主としての
重圧はかかる
どうしても
身構えてしまう
禁断症状だと
蒼穹は言う
私の永遠の
ジレンマだと‥
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今まで積み上げて
来たものが
私自身が
ここに来て
ブレ始めてしまう
昼休みに入った頃
高周波数共振により
ランドシップ全域が
これまで経験した
事の無い不思議な
感慨に包まれる
涙腺崩壊した
私達人類が
一斉に涙を流す
珍事が起きた
全員が窓から浮上する
全長19kmの超巨大な
母体攻防神がゆっくり
上昇して行くのを
誰もが眺めていた
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「す‥すげー‥」
「何コレヤバい」
「普段泣かないのに」
「人生ひっくり
返った気分だ‥」
窓際にべったり
集まり
歓喜の涙を流す
野次馬
みんなの
感慨深い思いが伝わる
確かに
この防衛網は
ラグラの重要な
主要拠点となり
全土を固めるには
あと三体は必要だ
その内の
一体は私が今朝
沈めた
時代の節目
世界をひっくり返す
変化の到来とも
言える‥
机に座る私が
涙を拭うと
真剣な眼差しで
隣に立つ彼の
存在にハッと気付く
見上げると
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男の子
「アレの事知ってる?」
エノク
「 」
男の子
「話があるんだ」
「来て」
嗚呼‥
ごめんなさい蒼穹
勘の鋭い子に
関わってしまった
誰もいない
廊下まで来る
涙はまだ
止まらない
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彼は涙も見せず
無感情に
私に正直に
説明してと言う
男の子
「アレの正体は何?」
エノク
「侵食者」
男の子
「 」
エノク
「第三形態よ」
絶海に身を沈め
禊の時を迎えた
第二形態の
シャンデリアから
姿を変えたもの
その母体クラス
そう説明した
男の子
「‥君は何故
そんな事まで」
エノク
「私にベラベラ
吐かせて‥
植物には優しくする
くせに」
男の子
「 」
エノク
「不愉快だわ」
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ベクトル
剥き出しで教室に
戻ろうとした
私に
男の子
「怪物の僕に」
エノク
「 」
男の子
「話しかけてくれたね」
エノク
「怪物?」
「他に言う事無いの?」
男の子
「ごめん、エノク」
エノク
「似た者同士って
言いたいの?」
彼が睨んだ
言い過ぎた
エノク
「ごめんなさい」
「ブレると私こうなの」
自分も怪物なの
侵食者以上の‥
そう白状すると
その場で膝を落とし
泣き崩れた