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ドラの翼で 四

マキです

爺ちゃんが
私に話す

爺ちゃん
「マキよ、この日本を
離れねばならんな」
「いよいよ潮時じゃ」

そんなの
分かっていた

それを見越し

婆ちゃんの
生前の言葉を
思い出す

マキ
「そんなの何処行ったって」
「千里の場所も同じ。
婆ちゃん言ってたじゃん」
爺ちゃん
「そう、そうじゃな」
「ワシらは繋がっておる」

仏壇を
眺める

爺ちゃんの
勘が働く

糸目が
珍しく
開いた


爺ちゃん
「外が騒がしいの」
マキ
「え、もう?」
爺ちゃん
「もう少し隠居
出来ると思っておったが」
マキ
「Bルート通用
してなかったか」
「あちゃー‥ゴメン」
爺ちゃん
「是非も無い。マキ
ドラを起こせい」

ドラを
起こさないと

寝ぼけ眼で
ドラが目を開く

マキ
「ドラ、また飛ばないと
ならないの」
ドラ
『どうかしたのマキ』

その時

浮遊砲の
火が吹いた

爺ちゃんが
叫ぶ

爺ちゃん

「マキ!ドラ!伏せい!」


ピンポイントで
我が家の
固有結界へと
着弾する

激しく
揺れた

爺ちゃん

「気でも触れたか徳永!」
「次はもたんぞ!
マキ、宝玉を使えい!」

マキ
ドラ
「コクリ」


ドラの
宝玉
ハイルド・アール

婆ちゃんの
仏壇に
向かい叫ぶ

マキ
「婆ちゃん開けて!」
婆ちゃん
「4桁で当ててご覧」
マキ

「二二九二(ニンニクニ)‼︎」

婆ちゃん
「大当たり」
「ドラとドーランを
頼んだよ」


仏壇の
アンロック

子引出しが
開くと私は
その一つ

鉄の球体を
取り出す

これが
ハイルド・アール

ドラに
渡す

マキ
「ドラ、浮遊砲ぶっ壊して!」

ドラは
大きく
息を吸い込み

背中の
粒子加速器官が
ヒレの様に
開く

固有結界から
閃光が放たれる

真っ直ぐ
伸びる
閃光が
浮遊砲の
強襲弾に
着弾した

次弾の
迫撃砲を
相殺し

爆炎が発生

煙が包む

チャンスだ


爺ちゃん
「今じゃ!逃げるぞ!」
マキ
「爺ちゃん、先に逃げて!」
「私達が囮になる!」
爺ちゃん
「何じゃと⁈」
マキ
「聞いて。仏壇背負えるの
爺ちゃんだけよ」


このまま
逃げ仰る
筈も無い

分散して
時間稼ぐ

爺ちゃんは
堪える

歯を食い縛って
孫娘を
囮になど

そうも
言ってられない

蒼樹ヶ原の
辺りで待つと
静かに伝える

爺ちゃん
「良いな?無理は」
マキ
「禁物。後でね!」
「ドラ、行くよ!」

爺ちゃんを
逃し

私とドラは

颯爽と
上空へと
飛び出した

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