蒼穹の見聞録22
オオノケ
白銀の
毛並みに
熊より
大きな身体が
ゆっくり
歩く
親分先生
「無事か、オオノケ!」
オオノケが
頷く
エノク
「シシバヒコは?」
親分先生
「後ろにおらなんだ?」
オオノケ
「 」
オオノケの
足元から
ペンギンの様な
黄色い
身体が
よちよち
歩く
ぐるぐる巻きの目
エノク
「初めまして。エノクです」
シシバヒコが
お辞儀する
可愛い
エノク
「私達これから‥」
蒼穹
「ん。どうするっスか?」
親分先生
「都市部の被害は大きい」
「場所を変えよう」
エノク
「え、あ、はい」
私達は
都市部を
離れ
花弁の
内側へと
移動した
内陸の
自然が
広がる
地形に
湖が広がる
湖畔
蒼穹
「随分と深い湖っスね」
エノク
「伸びる様に長い湖に見えるわ」
親分先生
「これは」
親分先生が
怪訝に
首を
傾げる
エノク
「親分先生?」
親分先生
「知らん」
エノク
「え?」
親分先生
「此処に湖は無かった」
「禊の泉が流れ込むとは‥」
蒼穹
「どう言う事スか?」
親分先生
「おそらく、一級侵食者の攻撃よ」
「大地を抉るとはな‥」
エノク
「 」
蒼穹
「 」
「な‥こ、この威力⁈」
悪鬼との
戦い
蒼穹が
見た
一級侵食者の
大きさ
推定
500m
抉れた
大地に
膨大な
禊の泉から
流れ込み
出来た
湖
侵食者が
輪廻に
もたらした
被害
それは
私達の
想像の
遥か斜め上
突如現れ
形成された
湖を
私達は
無言で
眺めるしか
なかった