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精神世界物語after





怪異に襲われて‥‥

どんな事があっても

スキルに目覚めて‥‥

何があっても

代償を払う度、スキルが目覚めてくる



精神世界ってそう言うもの


良い代償もあれば、悪い代償もあるって事。

聖釘を召喚出来て、親分先生にプルも見れた。


後は‥‥何だろう。


私は、エノラ。
小学5年生。
ジェネシスベイエリアの廃坑トンネルで、クラスの男子ゲンを助ける為、訪れた地下トンネルの現場で怪異に遭遇し、頭に大怪我を負った。
入院した病院からも退院でき、怪我の完治も目前に迫って来たある日の事だった。

親分先生が私に唐突に話す。

「おまるは、見えんか?」
「へ?」
変な声が出て、慌てて訂正する。
「おまるって何?小さい時は使ったけど」

「厠ではない。やはり見えんか」
「ご、ごめん!イメージすればわかるかも!」
「いや‥怪我の治りが早いのは、おまるの協力あればこそよ」
「どんな子?お礼言いたいわ!」
「気持ちで充分よ、エノラ」
そんな‥見えないだけで気まずいのに。
おまるに悪い気がした。
中途半端なスキルに嫌気がさす。
「悲観するでない。ワシらが見える、それだけで充分よ」
「ごめん。やっぱり見えないの‥」
おまるに会いたい。
そう思って、丸いイメージから想像する。
直感がおまるのイメージに重なっていく。

その時だった。

「‥ん?」
目の前にまん丸の足が4本生えた霊体が姿を見せてくれる」

目の前に‥そばにいてくれた。
優しく手を伸ばし、抱き上げる。

温かい。
涙が出てきた。
おまるが抱き上げた私を、目を閉じて受け入れてくれるのがわかる。


「ありがとう‥‥」
「見えたか」
「ん‥‥」
「精神世界は、見るものを決して拒んでいる訳ではない」
「良かった‥別に、私が絶対見れない訳じゃないのね」
「スキルに上限はない。思いは伝わっているのだ」 

直感のイメージって大事だと思う。
大怪我負った時も、親分先生のアドバイスがなかったら、イメージ出来なかった。

しかし、私はハッと気付いた。
この後の代償はと気付いた時、私の体の力が一気になくなったと思うと、その場で崩れ落ちた。


気がつくと、私は横になっていた。
親分先生もプルもおまるも心配して覗き込んでいる。
起き上がり、振り返る。
これも代償なんだと気付いた。

倒れた元音が下に響いたのか、ママが階段を駆け上がって来るのを想像した。
「エノラ、大丈夫!?」
案の定ママだった。

ベッドに寝かされる私。
ぐったりとして力が出ない私を横にしてくれた。

「ごめん‥ママ」
「良いの、気付いて良かったわ」

後悔はしていない。
おまるを抱き上げ、お礼も言えたし。
それとも、私の選択に何か手違いでもあっただろうか。

ママが私の部屋を後にしてしばらくしたら、親分先生とプルが覗き込んで話しかけてきた。

「代償も辛かろう」
「ん、けど仕方ないの」
「知りすぎるとはこの事よな」
「みんな誤解してる、体弱いんだからって‥」

等価交換による代償は、突然来る。今まで、何度も経験した。
親分先生はなんでも知っているし、プルの分まで話してくれる。
ずっとこのままの生活が続くんだろうなって、思っていたところ。

ふと私は親分先生が遠くを見てる気がしたので聞いてみた。

「どうかした?」
「‥‥今ではないが、近い日に離れる事になる」
「え?」

私は少し考えハッとして、俯いた。
「今まで遠くを見たことなかったね」
「そうさな」

その理由は、私は聞けなかった。
答えに意味は無い。本質に気付いてないから理解だけでは無意味だと、以前教わったからだ。

肝心な事は、聞かない事にした。
だから、知らないって悔しい。

「行ってらっしゃい」
「今ではないぞ」
親分先生は笑顔で答えてくれた。
「ぎゅってして良い?」
「ええぞ」
「ね、おまると、プルも!」


親分先生とプルの温もりが伝わってくる。


これから私の運命が決まる出来事が起きる。





それは、もう少し先の話‥‥‥。

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