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マインド・トリガー2
スマホ版小説2
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忘れ物は無い?
母が玄関で靴を履く私に
聞いて来た
私は神崎雫
この街に来て2年目の夏
中学生になり初めての夏‥
と言ったところだろうか。
雫「端末はちゃんと持ってるよ」
母「そ、気をつけてね」
雫「うん、行ってきます」
何気ないこの会話が
無意識に切ない‥
私は笑って家を出た
母は感じ取っていたのだろう
拭いきれないトラウマに。
私が小学5年の頃、
海上都市ジェネシスベイエリアの
壊滅する大災害が発生した。
大海嘯
事前避難により
私達市民団体は
ほぼ全て避難。
2人の子供を除いて‥
壊滅した巨大都市に
犠牲者がたった2人なら
奇跡としか言いようのない
この災害を、私にとって
人生で忘れることの出来ない
トラウマを植え付けた。
何故なら
失った2人は
私のかけがえのない友人
エノラとゲンだったから‥
泣いて
泣いて
嘘だと言ってほしかった
人生最悪の社会見学となった。
通学路。
歩道を歩く景色に
少し慣れ始める
下層のランドシップである為
上空には様々な島
大陸の姿が見える。
中央区の摩天楼から離れる
この住宅街は、かつて
海上都市壊滅後の
分譲地として振り分けられ、
生活保証された。
幸いにも整備された交通、
公共の場でも不自由さえない。
此処に住まわせて貰っている
そんな感覚。
新参者らしく
恩を仇で返す気は
全く無いけど
クラスでは何かと
役に立ちそうな女くらいしか
見てない女子も当然いた。
掃除を任されたり
日直を押し付けられる
後は‥
まあ良いわ。
行動出来る日々なら
メンタルを守る程の
歯を食い縛る
イジメも無い。
そう割り切れる自分がいる。
ただ‥
都市壊滅の話題に
触れる度に不愉快になる
自分が居る。
そんな時は
黙って席を外す事は
あった。
空気くらい
読みなさいよと
静止するクラスの女子
仁原千鶴
私は後に千鶴ちゃんと
呼ぶ様になった。
一言で言えば
口の軽い子。
まあ、少しだけ。
今日も普段通り掃除を
押し付けられた。
快く引き受け
掃除に取り掛かる。
しばらく作業‥
床を掃除する
モップの手が
止まった。
その方向に
ベクトルを向ける事なく
掃除を続ける。
そこには
窓いっぱいに私を凝視する
真っ黒な蜘蛛の様な
霊体が張り付いていた。
真っ赤な目玉を幾つも光らせる
窓からズズズと
教室内に入ってくる
霊体
私はキリの良い所で
掃除を終えて
モップをロッカーに押し込み
扉を閉める。
雫「終了っと」
一人教室を出た。
廊下に出る
男子とすれ違う
男子が単語を唱える。
男子
「engage‥」
彼の右手に現れた
サブマシンガンが現れ‥
え?
躊躇無く教室に向かい
乱射した
目を見開き
私が振り向く
雫
「と、トリガー使い⁈」
彼
「‥だったら、何故撃たないんだ?」
静寂‥
教室を見る
変わり果てた穴だらけの
蜘蛛の霊体がぐったりしていた。
雫
「 」
彼
「聞こえなかったか?」
雫
「‥それは」
「私の脅威では無いから」
彼
「心外だな。襲われてからでは遅いんだぞ」
わかってる。
どうしても撃つ気に
なれなかったと答えた。
彼
「何の為のトリガーなんだ」
雫
「 」
何も言い返せないまま
胸にグサリと刺さる‥
昼休み
気持ちの整理が付かないまま
私は屋上へ向かう。
屋上にはかつての
弁当を食べた生徒が
残して行った空き缶が
いくつか転がっている筈。
今では飲食禁止となって
人気のない場所。
憂さ晴らしに射撃練習でも
そんな感覚で向かう。
暗く照明の無い階段を登り
ドアノブを回して押した。
風と外の輝きが
私に飛び込んでくる
カンッ
空き缶の飛ばされる音
雫
「 」
彼
「‥お、お前⁈」
まさか先客が彼とは‥
気まずい。
雫
「ご、ごめんなさい!見なかった事に‥」
彼
「あ、待ってくれ。此処ではトリガー同士やらないか?」
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サブマシンガンを手に
彼が引き止めた
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彼は
輝戸川悟
この学校で唯一の
トリガー仲間となる存在。
続く。