Ragura Floating World66
身体中の
謎の痛みは
しばらくすると
治った
エノクです
成長期の骨の
痛みかと思いながら
雨の摩天楼が見えた
身体を引き
裂かれた後の
進行の痛みの
様にも思えた
何だろう
行動を起こすと
治る
ここから
駅から
パパの会社まで
もう少ししたら着く
エノク
「じじ(タケ)と同じ
会社だからどちらか
捕まれば‥」
傘をさす
ミタマも
支えてくれる
優しい
エノク
「もう少しね」
端末も
近いと
知らせてくれる
精神考古学研究会
此処だ
着いた
受付のお姉さんが
私を見て
目を丸くしている
小学五年生が
デカい傘持って
珍妙な生き物
肩に乗せて
来れば確かに
インパクト
あるかもしれない
お姉さん
「ど、どんなご用件?」
エノク
「エノクです。
パパが弁当忘れたので」
お姉さん
「名前を伺っても
良いかしら?」
エノク
「 」
自分の名前を
二度言いそうになり
口ごもる
少し落ち着いて
パパの名前を
答えた
エノク
「カズです」
お姉さん
「カズさんですね、
了解しました」
エノク
「宜しくお願いします」
ズキン‥
まただ
全身を摩る
痛みで顔に出た
お姉さん
「大丈夫?」
治る
何だろう
もう帰ろう
エノク
「じゃあ私、帰ります」
お姉さん
「あ」
帰って
安静にしたい
私はパパの
会社を後にした
帰りに
パパから連絡
カズ
「悪かったね。
急いで帰ったって
聞いたよ」
エノク
「自分でも良く
分からないんだけど」
「身体痛くて‥」
カズ
「何だろう‥
そんなキツい運動した?」
エノク
「そう言う痛みじゃない」
「自分でも分からない」
カズ
「気をつけて帰るんだよ」
エノク
「ん。帰ったら休むわ」
筋肉痛
神経痛
どれも違う
手足
指先から
全身
怖い
それなのに
動けばマシになる
何だろう
もう訳が
分からない
ミタマも
心配そうに
見つめる
なんとか家に帰る
私はこの日
何も出来ず
一日死んだ様に
眠った
心配する
ママを他所に