Ragura Floating World17
私アリサ
タケと帰宅します
お姉ちゃんが
残してくれた
エアーフライトに
乗って走る
ミツルギも一緒
私、真っ先に
お姉ちゃんに憧れて
この資格取ったの
それが今では
この機体が
形見となる
初めてこの子で走る時
まさか喋るとは
思ってなかった
フリュが話す
フリュ
「設定が当時のままです。
あなたなりにカスタマイズ
できますよ」
アリサ
「このままでお願い
お姉ちゃんの
設定のままが良い」
フリュ
「あい」
かわいい
家が近い
ビルが見えてきた
分譲住宅ビルだから
いつ見てもデカい
そろそろナビして
もらわなくても
慣れてきた
ビル街の侵入口へと
本線から車線変更して
ビル内に入る。
少し暗い駐車場。
機体を止め
パーキングモードに
切り替えると、
機体に内蔵された
ランディングスタンドが
露出し、地面に
設置された。
車一台のスペースに
二台収容して帰宅できた。
アリサ
「タケは自家用車持たないね」
タケ
「会長が貸してくれるからな」
「ベクターBOXで
収容できるのは
原則エアーフライトだけだ」
アリサ
「そうなんだ」
タケ
「授業で習わなかったか?」
もう忘れたよ
タケと談笑
しながら歩く
駐車場から
複数ある
エレベーターに
乗って自宅の
階層に向かう
実際は上より下の方が
忙しい人には
アクセスが早い様で
人気の物件なんだそう
展望の眼差しで
俯瞰を見下ろすのが
そちらのセオリーな
気はするけど、
こちらでは
地平線を埋めるビル群が
視界を遮断するので
絶景とは言い難い
そうです。
タケ
「下の階なら階段
使って帰れるだろう?」
アリサ
「確かに!お姉ちゃんも
学生の時そんな事言ってた」
タケは
このラグラには
奈落に向かって伸びる
逆さまのビル街が
あると言う。
私は初めてその話を知った。
今度家族で一緒に
連れて行こうと
持ちかけてくれた
私を他人扱いしない
この人柄‥
お姉ちゃんが
好きになる訳だ
‥なら、話そうと思う
アリサ
「タケ」
タケ
「ん?」
アリサ
「私が内包者でも大丈夫?」
タケ
「ああ、仕事でその記述を
調べていたんだ」
「更なる調和をとるためにな」
ドクン‥
タケは
この人は‥
私を、私の人生も変える
つもりなのだろうか
初めての感覚‥
これが恋なの?