Ragura Floating World28

マヤ‥だよ

エノク‥

私を見て

睨むなり怒るなり
好きにして良い

だから‥お願い
返事して

何度も願う

時間だけが過ぎる

エノクは目を開かない

カズが寄り添う

カズ
「後は任せよう、
此処にいても
時間はかかる」
マヤ
「　」
カズ
「マヤ」
マヤ
「う‥ん」

あの時

泣き叫ぶエノクは
力尽きる寸前まで
私を呼んだ‥

戦ってでも

それなのに

私の目の前で
エノクの右腕を
握り潰し消えた

転送ポータルを
発生させない
転送でログも
残さずに‥

悔しくて
憎んだ‥

それでも
何も出来ず
愛する娘を
取り返す事も
出来ないまま

悔しい‥


カズが電話している

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カズ
「学校から避難
できましたか？」
ネグロ
「迅速に対応は出来た」
「しかし‥魔王を放置出来ない」
カズ
「気持ちはわかります」
「それでも、被害を
最小限に抑えるには」

古代図書館で
下手な戦闘は出来ない
文字の解読書も
魔王の手の内にある

500年の眠りから解かれた
魔王は更なる
権力拡大も可能となる。

ネグロに
焦りが出る

カズ
「必ず方法はあります。
今はその方法が
無いだけなんです」
ネグロ
「君は冷静だね。流石だ」
カズ
「ネグロさんはエノクを
助けてくれた‥恩人です」

エノクはまだ
生きようとしている

あの時

マヤの時と同じだ

だから諦めはしない

---

エノク‥です

腕は動かない
身体中痛い‥
頭も強く打った

動かせない

お箸‥もう
持てないのかな？

やだ
そんなの

ラグラの医療機関は
ちゃんと治して
くれる筈だから

頑張って治す‥

自分の身体
今
どうなっているのか
分かんない

分かんないけど‥

それでも
諦めない

誰かが私を
助けてくれた

お礼言いたいから

絶対生きる
大丈夫‥

意識が無い中で

それでも

寝ぼけナマコは
絶対やだ

目を開けられ
ないまま

私の意識が飛んだ