Ragura Floating World43
エノクです!
はい
五年生になりました
古代図書館で
ネグロが
守ってくれた
解読書
卓上の書物を読み漁り
スキルを磨いた結果
今に至ります
私の世界が変わり
ひっくり返った
私の魔力腺
先端無く循環
するみたい
つまり私の体
永久機関として
指先まで循環する
先端の無い魔力腺
ルーンが枯渇
しない仕組み
なんですって
聖釘を創造した時
ルーンが枯渇して
倒れたのは
私の体がまだ
成長過程だったから
取り込んで
循環して
消費しない
だからと言って魔法は
習得することは
出来なかった
それじゃ
意味が無いと
思っていた
違った
私は
創造主
ラグラの人間であり
目に見えない
誰にも気付かれない
怪物
それを証明する
日がやって来た
心地良い朝
昨夜の夢に
蒼穹(そら)が現れた
侵食者が
世界線の地域を超えて
進軍した様
ラグラのランドシップに
半霊状態で取り憑き
今度こそ
人類を殲滅する気
そして
真っ先に創造主から
抹消するみたいな事
言ってきた
そんな開眼共に
覚醒した私に
ダンスでもして
舞って見せてと
蒼穹は笑って言う
蒼穹は最前線で
総力戦を展開する
そんな最高な気持ち
人類の存亡がかかる
トラブルなのに
玄関に立つ私
伸びた髪
円満の笑顔で
振り向き
ママに言う
エノク
「行って来ます」
マヤ
「いつも飛び出した
アンタが年頃に
なったわね」
エノク
「また飛び出して
あげようか?」
ニカっと
はにかんで笑う
ママは半分呆れて
しっしとジェスチャーする
そよ風を感じ
私の髪が靡く
私は霊視線で見る
自宅を囲む式
その外側に出る寸前
笑顔を崩さず
フィンガースナップ
パチンと鳴る
足元から
半霊の式が展開
それは私の背丈に合わせ
二段三段と増え
頭上に向かい
計五段目で頭上まで
展開する
直後
足元から
刺さる音が響く
背丈に展開する
五段の式の至る所に
刺さる音が響く
フェンスに視線を移す
無数の触手が私を襲う
髪をかき揚げ
その右手を振り下ろした
真下の侵食者を囲む式が
奴(やっこ)を取り囲み
姿を消した
端末がピロンと鳴る
エノク
「デリート」
断末魔を一瞬上げた
気がするがそれも途切れる
周囲を取り囲む侵食者
バキバキと
氷山が裂開する
音を立てた
主砲を放つ態勢
私の通学を阻害する
髪を両手でかき揚げ
パッと後ろに払うと
侵食者の
群れの前方に
式を展開
それぞれ取り囲み
飲み込んだ
端末が連呼する
エノク
「デリート」
複数の一瞬の
断末魔が響く
俊敏な小型の
侵食者が
飛来する
遠方から編隊を組み
散開する
女の子
「エノク〜」
エノク
「ん、おはよ!」
挨拶して
手を振った
私の式の
範囲が広がる
次々に新しい式を
展開させた
小型の侵食者の
後方に展開すると
次々に取り囲む
端末は再び連呼する
女の子
「やだ‥悪質メール⁈」
エノク
「慣れたわ。
デリート!」
蒼穹が手こずっている
いつまでも
舞う訳にいかない
エノク
「母体を探すわ」
蒼穹
「お願い」
女の子
「母体?」
エノク
「メールの話」
「すうっ」
目を閉じ深呼吸
エノク
「良い風」
フェンスに
寄りかかり目を閉じた
フェードアウト
宇宙に群れが見える
どんな形?
いる‥
分かる
玉ねぎくっ付いた奴?
蒼穹
「デカいでしょ?」
「ドカンとやって」
エノク
「ネイル、走るわ」
ネイル
「えっ?」
私がつまづいた
エノク
「わっ!」
慌てて両手を
地べたに着いた
ごめんなさい
これ以上の危害は
加えない
貴方達を解放する
ラグラ一帯
いいえ
奇襲を仕掛けた
侵食者の群れに
一斉に行動を制限させる
その式は一瞬で現れ
全ての侵食者に
展開されると
ピタリと動きを止めた
真っ赤な複眼が
真っ黒に変わり
黄金に輝き始め
全ての侵食者が
一斉に転移集結
母体を取り囲む
ズラリと並ぶ
純粋炭素達が
バキバキと裂開
母体が抗いの
閃光を放つも
数には敵わない
ボソッと一声
エノク
「一斉掃射‥」
上空から低い
爆発音が響く
半霊だけど
にっこり笑う
エノク
「まだ母体居たら
撃つわ」
蒼穹
「舞うね♪」
エノク
「ん♫」
ネイル
「大丈夫?」
エノク
「あらやだ笑」
ネイルだけで無く
他の友達にも
挨拶する
この日の母体は
一つだけで済んだ
他にも居るかも‥