lost kingdom18

ベクトルを
私に定め
閃光が伸びる

避けきれない

すると
突然
空中で
体当たり
された

エノク
「あなた‥」

王の側近
アンドロイドが
最後の
メッセージを
送る

アンドロイド
「生き残れ」
エノク
「　」

アンドロイドが
熱線に
焼かれ
分解

爆発した

この
瞬間を
絶対
無駄に
しない

アビスに向け
上昇する

もう少し

閃光を
二度
三度
回避

ランドシップに
着弾
爆発し

瓦礫が迫る

涙で
叫ぶ

エノク

「まだ⁈」

トマリ

「今だ！」

エノク

「撃って！」

攻防神が
火を吹く

閃光が
伸びる

直下の
多脚アンドロイドに
着弾

爆発

爆炎に
突っ込んで
アビスに
到達した

熱い‥

痛い

火傷で
涙でよく
見えない

上昇が長い

力尽きそう

渾身の力で
叫ぶ

エノク

「ワイヤー伸ばして！」

暗がりに
伸びる
攻防神の
ワイヤー
目掛け

私は鋭利な
先端目掛け

突っ込んで
刺さっ

‥

意識が
無くなる

---

カナ
「あの子ワイヤー伸ばして
どうする気なの？」
トマリ
「待て‥引き戻されてる⁈」
「　」
カナ

「　」

引き戻された
ワイヤーの
先端に
喉元から貫通

刺さった
血塗れの
エノクが
引き上げられる

イーノが
全員が叫ぶ

アビスは
騒然となった

---

会議室に
集まる
一同の
空気は

重い

私は

殿下だ

あんなものを
見せられてはな

攻防神の
力を借り

負傷した
自身の
体力
気力
だけでは
心許ない

その為の
奇行だったの
だろうか

もはや
姫君は
会議どころ
ではない

最も
取り乱していた

エノクは
貫通したまま

意識を
取り戻さ
なかった
らしい

---

何日？

どれくらい
経ったか

私

よく分からない

エノクです

元の姿に
戻っていた

痛み
苦しみが

口から
真っ赤に
溢れ出る

ママが
涙目で
見てる

不眠不休で
私を診てた

生きてる

涙が
溢れる

開口一番に
ごめんなさいと
言いたかった

なのに

声が

出ない

カナ
「喉元から足の
右付け根までワイヤーが
貫通してたのよ」
「重度の火傷を
全身に浴びて熱が
下がるまで引き抜け
なかった」
エノク
「　」
カナ
「もう‥あんな無茶
しないで」

エノク
「　」

涙で

目の前が
真っ赤で

ママが
見えない

頷くしか
なかった