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mystery gem4

カーテンを
引きちぎり

ぶち破った
窓から身を
投げ出して
上空からの
脱出後

私は真っ逆さまに
弾丸の様に
落下する



ミス・インポッシブル

え?
自殺なんて
しないわよ?

パラシュート
なんて要らないわ

問題は
その先ね

絶壁の川や
海、湖は
勘弁して下さい

それ以外で
お願い

雲へと
突っ込んで
その先へ

どうか‥

嗚呼
岩場ね

良かった

真っ暗な
地形へと
向かい
距離が
近くなる

小さな町も
見えた

そろそろ
かしらね

あなた達の
出番

大型船の時も
そうだったけど

落下速度が
みるみる
下がる

弾丸の様に
早まる速度が
低下する

身を翻して

ゆっくり
着地した

ガラスの
破片も
落ちて来る筈

急いで
距離を取る為
走った


間一髪

岩場に
独特の
匂いを感じる

鉱石かしらね

岩場は
不安定だけど
靴はハイヒール
でも無いから
問題無い

上空からの
景色から見て
小さな街が
見えたから
こっちの筈

後は闇


何かいる
気配を感じる

お願い
もう少しだけ
力貸して

夜の獣から
距離を取る

猛ダッシュで
狼から距離を取る

一気に引き離す

ちょっとした
森を抜けて

町が
見えて来た

良かった

誰か




街は静かに
人が行き来する

飲んだくれ
夕食時

それぞれの
生き方で
賑わう

買い物を
済ませた女性に
声を掛けてみる

初めて見た
綺麗な人

カナ
「あの」
女性
「え?」
カナ
「 」

ドサッ

嗚呼
此処までか

私は昏倒する




走る

姉からの
通達で
仕事を早く
切り上げて
今は帰り

僕はトマリ

トマトじゃない
変な名前だろ?
変人さ

機械修理に
右に出る者は
居ない程の
メカニック

姉はジェシカ

歩く街の人を
スイスイ避けて
家まで
帰って来た

トマリ
「ただいま姉さん」
ジェシカ
「おかえり」
トマリ
「それで?」
ジェシカ
「嫁が来たわ」
トマリ
「は?」
ジェシカ
「あなたの笑」
トマリ
「 」
「姉さん?」

頭でも
打ったのかと
突っ込んでしまう

寝室に
寝かせたから
見ろと
姉さんのお達しで
ドアをそっと
開けて見た

ベッドに
横になる
深い眠りの
少女
姉さんより
長い髪だ‥

トマリ
「‥誰?」
ジェシカ
「見ない子ね」
「不思議な髪の色」
トマリ
「何処から来たの?」
ジェシカ
「岩場の森方角から
歩いて来たの
どう思う?」

僕は
目を見開き
再び
少女を見る

幻じゃない
昏睡している

あの方角から
知らない人が
歩いて来る
筈は無い

獣道

岩場

旅人が
選んで来る
ルートは
存在しない

トマリ
「どうやって
来たんだろう」
ジェシカ
「目覚めたら聞けば良いわ
私に声をかけた時には
ふらついてたもの」
「外傷も無く辿り着く
地形じゃ無いのに」
トマリ
「 」
ジェシカ
「あの子をどうするか
あの子と決めれば良いわ」

姉さんが
フッと笑う

こんな真面目に
笑う姉さんは
初めて見た

トマリ
「姉さん‥」
ジェシカ
「機械が恋人なんて
真っ黒に汚れる人生
あなたに合わないわよ」
「姉と近親相愛で
終わったらと思うと笑」
トマリ
「 」


嗚呼

いつもの
姉さんに
戻った

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