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Ragura Floating World41

ミタマが
戻って来ない

何かあったの
だろうか‥

やるべき事は
他にもある

ママに連絡しなきゃ
辺りは日没時‥


マヤ
「エノク?まだ
帰って来ないの?」
エノク
「ママ!ごめんなさい!」
マヤ
「随分暗い所に
居るわね‥まさか
今、何処なの⁈」

私はありのままの
現状を正直に話す

ママは言葉を失った

それでも

マヤ
「‥ミタマが
向かったのね?」
エノク
「うん、でも
戻って来ないの」
マヤ
「どう言う事かしら‥
そうだわ、カオよ!」
「カオのヌーべなら」
エノク
「‥‼︎」
マヤ
「エノク、通話を
そのままにして」
「カオに連絡するわ!」
エノク
「ママ‥!」

ママはカオに連絡する
私は端末の通話を
そのままにした

カオ
「マヤ、どうかした?」
マヤ
「マヤ、エノクが
洞窟に閉じ込められて
出られないの!
助けてあげて!」
カオ
「洞窟⁈現在地は
分かるかしら」
マヤ
「ミタマが戻って
来ないのは
引っかかるけど」
カオ
「あの子はまだ
小さいの
転移の回数は
3度も出来ない筈よ」
マヤ
「子供達を先に避難
させたからだわ。
転移の維持時間に
間に合わなかったの」

カオは納得した様だ

カオ
「エノクの現在地は
ミタマの転移ログで
特定させてヌーべを
向かわせるわ」

マヤ
「お願いカオ!
私もそっちに
向かうわ!」

ママが通話を切る

私は真っ暗な
洞窟で待機する

僅かな隙間

聖釘を呼び出し岩礁を
吹き飛ばす考えもあった

隙間から見えるのは
ビルの付け根‥

当てたら大事だ

その時、
ポータルの輝きが
洞窟を包む

中からミタマより
大柄な子が出て来た

ポータルの輝きが
消えて真っ暗に
なってしまう前に
私はヌーべを
抱き上げた

エノク
「ありがとう、ヌーべ」

涙が止まらない

助かるから
ではなくて

こうして沢山の
救いの中で
生かされている私‥

涙が伝わり
抱き上げたヌーべに
滴り落ちた

ヌーべが再び
ポータルを展開し
私はその輝きの中に
飛び込んで行く

エノク
「行こう‼︎」

ポータルから出る
辺りは日没後‥

見渡すと街の住宅街
我が家の地域とは
違う場所に出た

カオの姿が目に止まる
私はヌーべをそっと置く
カオに駆け寄った
膝を下ろして
抱きしめてくれるカオ

エノク
「カオお姉ちゃん!」
カオ
「カオで良いわ」
エノク
「ありがとう‥私」
カオ
「エノク、私も
お礼したかったの」

顔をぐしゃぐしゃに
カオを見つめる
カオの穏やかな笑顔

カオ
「エルドを助けて
くれたお礼」
「エルドを紹介して
くれたお礼も」

エノク
「カオ‥」
カオ
「エルドに会ったわ
真面目な男性よ」

カオも涙目になる
幸せそうな嬉し涙で

その時だった

カオ
「あの子‥」
エノク
「 」
「ミタマ‥?」

ミタマが居る

まさか‥
これ以上転移が
出来ない体で
カオの所へ
助けを求めて‥?

駆け寄る
ミタマが私に
飛び込んで来た

こんなに‥
助けてくれる
仲間達がいる

涙が止まらない

エノク
「ミタマ、ありがとう
友達を助けてくれて」

ミタマがすり寄る

マヤ
「エノク!」

ママも駆けつけてくれた
何度も謝った

マヤ
「心配かけて‥」
エノク
「ごめんなさい‥」
カオ
「エノク、何か
あったら私にも連絡して」
エノク
「カオ‥」
カオ
「あなたの助けに
なりたいの」
エノク
「ありがと!」
マヤ
「私も久々に走ったわ‥」
カオ
「ヌーべ、二人を
送ってあげて」

私はカオに
いっぱい手を振った
笑顔が眩しいカオ

ヌーべがポータルを
発生させ、私はママと
元の地域ビルへと帰る

エノク
「ヌーべ、ありがとう!」

ヌーべが頷き
ポータルの輝きに
消えた

マヤ
「ミタマは
二回しか転移
出来ないの
気をつけなさいね」
エノク
「うん!」
マヤ
「あ」
エノク
「ん?」
マヤ
「晩御飯作ってない」
エノク
「 」

パパからの連絡も
すっ飛ばしてママは
走って来た

私はママの愛に
満たされて
家へと帰る事が
出来ました




翌朝

学校

例の捻くれ‥
いえ、
輝き隊に
なったのか
男の子達が寄ってきた

男の子
「リーダー!
おはようございます」
エノク
「ん?」
男の子
「リーダーのおかげで
昨日は助かりました!
ありがとうございます‼︎」


んん⁈
敬語‥

女の子
「何、急に?」
「どうしたの?」
エノク
「 」

心当たりが
無いわけでは無い
けど、この
変わり様‥

私は目を丸くして
瞬きする

男の子2
「輝き隊の
リーダー、エノク!」
男の子3
「さんを付けないと‥」
男の子2
「エノクさん!」
「命の恩人だもんな!」

クラスの注目を
集めて変な汗が出る

夏休みを前に

私は輝き隊を
解散しようと
思いたったが

男子の熱い眼差しと
支援には敵わず
無碍に断れない
自分の姿があった‥

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