
24. やっぱり離婚する!
いくら目をつむってどれだけ頭で蓮を浮かべようとしても、やっぱり違うわけで…
どれだけ行為に集中しようとしても、なかなか私が受け入れ体制になれなくて…
というより、
どうしても、夫を触ることができない自分に驚いた。
つまり両手を宙に浮かせた状態。
何度も夫の肩に背中に手を回そうとするんだけど、どうしても夫に触れることができなかった。
ずっとバンザイしとくのもおかしいし…
とにかく、手のやり場に困ってそのことにばかり気がいってしまった。
手に唾液をつけて、私を触り、なんとか入れようとする行為。
あ、懐かしいなって思った。
こんなことするの、後にも先にも夫しかいなかったから。
つまり…まだつきあってる時から、夫だけにはあまり欲情しなかったってことか…。
レスになった原因は、まさかの私かもね。
なんてことを考えながら、終わるのを待った。
ある意味、酔っててよかった。
シラフだったら、夫の方がこんな態度の私に、先にシラケただろう。
どれぐらい我慢したかな…
とりあえず終わって、3分は耐えたと思う。
でも、もう限界で
「ちょっとごめん…」
そう言って、急いでトイレへ駆け込んだ。
便座の蓋を開けたと同時に、
…もどした。
慌てて、水を流した。
ヤバい!吐いた音、夫に聞こえたかな……
焦りながらも、また襲ってくる吐き気。
今度はペーパーホルダーをカラカラ鳴らしながら、もどした。
急いで、洗面所で口をすすぎ、何事もなかったように、夫の横に戻った。
夫は、背中を向けたまま。
ぼんやり闇を見つめたまま思った。
やっぱり、ムリだ。
吐いてスッキリしたのか、自分の気持ちがはっきり分かったからスッキリしたのか…
とにかく、なんか急にモヤが晴れた気がした。
やっぱり、離婚しよう。
遠い昔、先輩に言われた言葉。
「一緒の空気吸いたくない程嫌いにならないと、離婚したらあかん。」
今、夫の隣に寝てるけど別にそこまで嫌悪感はない。
でも、夫とセックスして、気持ち悪くなり吐くのもアウトでしょ。
夫を受け付けないのか、
それとも夫とそういう行為をしてる自分が許せないのか。
どっちが気持ち悪くなった原因なのかは分からない。
でも、2人ともまだ36歳。
セックスをうけつけない人と夫婦をやっていくことは、私には出来ない。
夫も可哀想だ。
ブログで時々見かける「彼とも夫とも♡」という女性と私は違う人種なんだろう。
私にはできなかった。
やっぱり、やり直すことなんてできない。
覚悟した。
男は浮気を楽しめるけど女は心も奪われる。
そして、心を奪われた女はその愛する相手しか受け入れることができなくなる。
つまり私は、浮気できなかったんだ。
というより、そもそも人様のものに手を出すのはフェアじゃない。
分かってる。
どう考えても逃げ切れない。
それでも、もうここまで来てしまった。
もう、引き返せない。
お願いだから、もう少しだけ見逃してくれないかな。
嘘だらけでも、一瞬のぬくもりだけでもいい。
今はまだ蓮を失いたくない。
とにかく、まずは、夫と別れる!!
ふさわしい言葉ではないが、
私は晴れ晴れとした気持ちになっていた。
そして夫もまた、この夜何か吹っ切れたんではないだろうか。
私が吐いてたことに、気づいてたかどうかは分からない。
もし気づいてたなら、相当なショックだろうし、申し訳なさすぎる…
でもこの夜を最後に、夫が私を誘うことはなくなった。
私は、改めて離婚へ
夫は、徹底的に調べる方向へ
ようやく、私達の時間が動き出した。