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元カレと今の彼との違い

35歳の夏。

私は蓮に一目惚れをした。 

すでに3人の子供がいたにも関わらず、私はそのすべてを捨てても構わないとさえ思った。

それほどまでに夢中になった蓮は、もうそばにはいない。


『蓮がいなくなったら、生きていけない。』

あの頃は、本気でそう思っていたのに、、

なのに、今日も私はとっても元気に生きている。

不思議。



蓮のこと。

ほんっっとに好きだった。

笑った時にくしゃっとなる顔が好きだった。

私を見つめる、あの目が好きだった。

『あこさんっ』って、私を呼ぶ声が好きだった。

話し方も歩き方も後ろ姿もバカな所も、とにかく全部。

まさに、人生狂わすほど、好きだった。

まぁ実際、人生狂ったけど。



でも、漱石さんに対しては全くない。

そういう感情は。

あ、もちろん、好きです。

でも、なんか種類が違うとというか、土俵が違うというか。


漱石さんとは、お互いを大切に思い合い、楽しい時間を共有する関係。

嬉しい記憶だけが増えていく関係。

恋愛って幸せなんだなぁって思わせてくれる。

私は特別な存在なんだって思わせてくれる自己肯定感で満たされる。


蓮には、のめり込めばのめり込むほど、自己否定感でいっぱいになった。

身体を重ねる度に、不安と孤独が増していった。


好きな人と一緒ってことだけで得られる安らぎ。

蓮と一緒にいて、安らいだことってあったっけ?


つまり、今、漱石さんといることで感じる『幸福感』があの頃はなかった。

まさに、ジェットコースターみたいな恋だった。



何が違うんだろう。

若さ? 経験値? とか思ってたけど、その違いがわかった。

予期せず、ふいに突然訪れた恋。
ひとめ見てから好きが止まらなくなった蓮。

それに対して漱石さんとは
条件を検討してから付き合うかどうか決める、いわばお見合い恋。

好きになる人を探していて、見つけた漱石さん。



そう、出だしが、全く違ったんだった。

気がつけば好きになってた人と、

好きになれる条件を満たした人。

こんなにも違うとは。



蓮と別れたくて今の夫さんとスピード再婚したのに、結局ずーっと蓮のことひきずったままだった。

なんで、蓮のことをこんなにひきずるのか、自分でも分からなかった。


10年以上たっても、まだ夢みてた。

ずっと、願ってた。


それでも、いつか。

ずっと想い続けたら、もしかして。

いつか、きっと、たぶんって。


結局、14年間今の夫さんと一緒にいても、蓮のことを忘れることはできなかった。

逢えないから、アメブロに綴った。

蓮との鮮明な記憶。

文字の世界に私と蓮がいることが、幸せだった。

でも、文字の世界でも、、私と蓮のお話は終わってしまった。

再び、私はうつむいてしまった。




ところがだ。

今の夫さんとの関係に悩み、2度と繰り返してはいけないとしっていながら再び不倫の世界に戻ってきたら、新しい景色が見えた。

味のしなくなったガムを何度も拾っては噛み続けたことに気づかせてくれたのは、ブルゾンちえみじゃなく、漱石さんだった。


私は今、前を見てる。

漱石さんとつきあうようになって、蓮のことを、というか、後ろを振り向かなくなった。

ずっと、未練だったり後悔だったり反省だったり贖罪だったり、とにかく、ことあるごとにふりむいて、あの頃の気持ちを探していた気がする。

だから、 一生分の恋をした とか

もうあんなに誰かを好きになることも憎むこともないだろう とか、平気で書けてしまったんだろう。

それを、漱石さんは、見事に払拭してくれた。

私は、「セックスパートナー」って言ってるけど、漱石さんは、「セカンドパートナーだよ」と言い直してくれる。

漱石さんが語る未来に、私がちゃんと存在してて、驚いた。

私自身は、まだそこまで考えが及んでいないけど、なんていうか、少しづつ、なにかが確実に変わってきてる。


 

人生、確実に折り返した。

子供達も大きくなった。

もう、いつ大きな病気になってもおかしくない歳だし、いつ死ぬか分からない。

だからこそ、もう本音とは違う生き方はしない。

たくさん悩み、たくさん諦め、たくさん笑い、たくさん泣いた。

たくさんセックスをして、満たされ、嫉妬、絶望、怒り、焦り、幸福感、あらゆる感情を味わった。

他人より少し多くの事件が起きすぎて、ネタみたいな人生だけど、

それって色鮮やかな人生ということ。

子供もたくさん産んで、たくさんの男性とすったもんだして、この歳になっても可愛いっていってくれる夫以外の男性がいる。

これって女として本望ではないだろうか。

心からそう思う。


私はきっと、死ぬまで誰かに何かに恋をするのだろう。

娘であり、妻であり、母親であり、嫁であり、時々、女。

もう、後戻りはしない。

前だけを向いて、進んでいく。

残り少ない人生。

心地よく、好きなことだけで、生きていく。

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