eスポーツをやるには何が必要か
淞南高校eスポーツ部が準備したもの〜部室編〜
eスポーツ部創設、顧問としてのアップデートをしていく中で、4月から活動するために何を準備したらいいのか。試行錯誤の毎日でした。なにせゲーム経験はほぼなしの顧問ですから。
専用の部室を用意する
まずは、「部室作り」というよりは、「部室」をどこにするのか。島根県にある全校生徒300人弱の小規模な学校には、驚くほど空き教室がない。PCルームはあるものの、ここで活動するのは、個人的に嫌だ。というか、よくない。なぜよくないかというと、「ゲーム部」ではなく「eスポーツ部」を作りたかったからです。PC教室に仮に高性能ゲーミングPCを置いたとして、部員に関係ない生徒が勝手に触ったり、部員が部活動の時間外にPCをいじっていたりしたらどうなるか。即活動は中止となると考えていました。また、専用の部室を作ることで、居場所を作りたかったというのももう一つの理由です。専用の部室があることは、それだけ力を入れている証拠にもなりますし、何より集中して練習ができる環境を整えることは本気でやる上で必ず必要なことだと考えていました。
研修室が部室に
結論から言うと、研修室として使っていた部屋が今部室となっています。研修室には大きな机がありました。処分するにはもったいないし、移動するにも場所がない。あと一歩のところまで来ていたのですが、押し切れないでいました。準備期間何人かの生徒に声をかけていたので、手伝ってもらいました。大きな机の寸法を測り、進路指導室に入るかもしれない。そんなことを考えていると、分解して運び、組み立てるという強行手段をとることになりました。奇跡的に進路指導室に収まり立派な机をどうするか問題は片付いてしまいました。目標があると行動力は倍になる。これで部室が作れる。小さな学校にeスポーツ部の部室ができることとなりました。その後もいろいろあって結果として研修室の2/3をゲットしたのですが十分でした。
壁紙と床はリフォームし、雰囲気づくり
部室作りで、こだわりたかったのが雰囲気づくり。eスポーツ部の部室ってどんな感じなのか。ネットで検索するも出てこない。いろいろな高校のeスポーツ部のWebサイトを見たのですが、空き教室に机が置いてあり、ゲーミングPCが並んでいる写真ばかり。恐ろしいほど地味な部室が多かった。
強豪校はグランドにもこだわるし、練習環境って大事ではないのか。もちろんお金がかかることなので、何にお金を使うのか。どこまでこだわるのか。これは悩ましい問題だと思います。
イメージが良くなる部室とは
eスポーツという未知の部活動をどうやったら知ってもらえるのか。どうやったらイケているモノとして周知できるのか。ここを考えました。もちろん部室に椅子、机、PC、ネット回線があればeスポーツはできます。しかし、本当にそれでeスポーツと言えるのか。中学生は、キラキラした目で「eスポーツがやりたいです。」と言ってくれるのか。疑問でした。そもそも「eスポーツの部室」=「ゲームをする場所」とすると、偏見100%で見たとしたら、「学校終わりゲームしている空間」と思われがちなのではないでしょうか。そうなってしまうと、部室って本当に必要?とかeスポーツ大丈夫?となるのではないかと考えました。実際それに近い意見をいただいているeスポーツ部があるそうです。
実用的且つ飽きないデザインを選ぶ
他の学校にはない、部室作り・空間作りをしようと学校側にもお願いをし、理解していただきました。理解を示してくれた学校には感謝しかありません。
壁紙は、ダメージ加工風で白を基調とした木目調、床は黒色のモザイク調にしました。完全に個人の偏見の趣味で選んだ柄ですが、意味はあります。年月が経っても古さを感じない木目調、そして多少傷がついても気にならないダメージ加工風。床は、ゴミやほこりが落ちていても目立たないモザイク調。(もちろん掃除は部活動の最初にしていますが)元研修室ということもあったので、ホワイトボードとスクリーンは、移設してもらいそのまま使わせてもらうことにしました。カーテンも変えようと思っていましたが、もったいないのでそのままのものを使用しています。照明もこだわりたかったのですが、費用面を考慮して今は、あるものを使うという選択をしました。
eスポーツを本気でやる空間が完成
今では、ちょっとした会社のオフィスのような空間になっていますが、ここで毎日部員はeスポーツに励んでいます。「この部室だから集中できる。」「この部室だからモチベーションが上がる。」と言ってくれています。「こんな部室で部活したかった。」と言われるほとんどの訪問者さんたち。無知ってすごいですね。わからないからイメージを膨らませることで創造された部室を作り上げてしまいました。ぜひ一度見に来てください。
最後に
本校の「eスポーツ部の部室すごいでしょ」ということを言いたい訳ではありません。専門学校でeスポーツをしている学校さんはもっと「ハイテクで近未来的な部室」があります。今では全国であちらこちらにたくさんできています。常々大切にしたいと考えていることは、「本気でやる雰囲気」を「大人」が作ってあげられるかどうか。そして、自分の居場所を作ってあげられるかどうか。だと思っています。eスポーツをやることに対して肯定的な想いでいられる場所それが立正大淞南高校eスポーツ部が目指す部室です。この部室だったら「eスポーツ部やってるね。頑張ってるね。」となり、また、「頑張ろう。練習しよう。eスポーツやりたい。」となれると思います。ワクワクどきどきできることを大人がしなければ、子どもはその楽しみもそういう楽しみ方もわからないと思います。試行錯誤し、ちょっと工夫するだけで、劇的に変わる。案外日常の中の喜びや楽しみってそういう気づきだったりするのではないかと思うようになりました。こういうこともeスポーツを通して学んでいます。
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